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12ー1
「光皇帝からか。是非、姫神に『宜しく』と、伝えておいてくれ」
流石に、微笑んでいる彼に、突っ込めないでいた。
凶悪面な男性を喜ばせるパーティーなのかは、解らないが、少なからず、ギオンには不思議な雰囲気に見える。この男を、此処まで、微笑ます女性でも現れたとしか考えた。
だが、よくよく考えれば妹と、契りを交わしていたのを思い出す。
随分、昔になるが、記憶の中に残る香りは。
-…今も、残像として残っている。
何処に消えたかも解らない妹が、彼を選んだ理由が『忘れらし冥界王族だから』と、話を逸らされた。
我すらも、信じてはくれないのか、レイナ。
「えぇ、是非に。フォルテシモは…天界と縁深い関係ですからね。姫神に、挨拶しておかなければ、バチがあたります…」
「しかし」
「ん?」
不意に、右肩に乗っている物体が気になる。
最近、流行りのペットなのか、それとも、カズラに勧められた玩具だったりするのか不明だ。
アズイ卿、肩の生き物は…。
『んっ』
微かに、聞こえた小さな声音。
ギオンは、見逃さなかった。明らかに、人の声だ。つまり、アズイが、気付いていないだけであり、肩に乗っているモノは、人で、間違いないだろう。
「何でもない」
「そうですか…」
まだ、微睡みの中か。
『目覚めるのは、まだ』
「…」
答えるかの様に、小さな光が、話す。
何時かの御伽噺に、登場する光みたいだな。
懐かしむ様に、ギオンは、思い出す。
妹が、居た頃に、興味を示して作っていた気がする。人類を誕生させるのに、必要な要素を詰めた魂に、特別な愛の雫を垂らすのだと、教えてくれた。
しかしながら、光の魂を見る事は、叶わなかったギオンはショックが、大きかったのを覚えている。
実際に、光の魂があるとすれば、瞳に映る物体だろうかと、安易な考えが生まれた。
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