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12ー6
ふっと、聞こえて来た声に、思わず、はっとした。
随分…。
昔過ぎた。
-…その声を、忘れる筈がない。
「●●様、何故、魔界に」
それを聞いて、教えてくれないのを解っている。
きっと、あの人は、人差し指を口元に当てて、微笑みながら『秘密』と、言うのであろうから。
だが、彼は…。
何を思い出しているのであろう。
私が、閉じ込められているのを…。
楽しんでいないか。
「絶対、次の時代に行ったら、魔界へ、抗議をしに行ってやる!」
「おぉっ、威勢が良いな●●●…」
「五月蝿い、この、おたんこなす」
寛ぎながら吐く、彼に、ハリセンを喰らわせた。
呑気にも、程があるのだ。
此処が何処かも予想せず慣れてしまって。彼女の手の内と、解りながら、時を待っている様にも思えるけど、コイツの場合は『果報は、寝て、待てだろう』と言う。
それにしても…。
アチラで、私の話をする機会があるのだろうか。
西暦的に、天地開闢が始まる前あたりだろう。
時間は、解らないが、当たっていると思うのだが。なにせ、此処は、時間の感覚が理解出来ない状態。
だけど、アチラは、解っているからこそ、聞こえてきたのだろう。
ふっと、横目に彼を映す。
『一日(いちじつ)作(な)さなば、一日(いちじつ)食(く)らわず』という、言葉もあるくらいだ。
アチラの方々は、社畜の鏡だと思う。
-…見習って欲しい。
『それは、無理に等しいんじゃないんでしょうか』
あ。
「どうかしたか?」
すまぬ。
少し、寝ていろ。
『相変わらず、父親に似ていて、容赦が無い。ま、其処を私は、買っています』
突然、聞こえてきた声に、私は、躊躇わず彼奴を眠らせた。
此方の会話を聞かせてはいけない気がした。
「何用で、御座いましょうか。あの人は、此方に繋げる事を致しませんが…●●様」
何処から、覗いているのか、想像が付かない。
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