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1ー1
残念ながら俺は一度狙った獲物は逃がさない主義。
逢ったのが一回で、初対面。
だけど…『逃げて良い』等と一言も言っていない。
「――…気色悪い、顔…邪魔よ」
「…」
忘れていた訳ではないが、俺今、一人じゃなかった。つい、名残惜しい彼の事を考えていたから彼女の存在を消していた。
彼女…。
否、恋人関係ではない。
寧ろ、恋人関係にもなりたくない。
こんなドが三付く腹黒女と…。
長い黒髪を優雅に靡かせ、切れ長の瞳は本当に俺を気色悪いといった色で顕している。
「お前が相談したい事があるって言うから…来てあげたのに、その態度は何かしら?」
周りに黒い気を漂わせ、首を傾げる。
顔は可愛いってより綺麗系に近い彼女は、俺の従姉だ。
こんな人を頼った自分が情けなく思うけど、彼の事を知るには情報網である彼女が一番。持つ物は従姉だよなって虫が善すぎる話だろうか。
ま、ドが三つ付く腹黒には変わりないけど…。
頼りになるお方です。
拝みたくなるくらい感謝したいのは山々だが、変態野郎と口から出るのは何故だろう?
俺の顔を見る度に吐くんだよな。
ー…従姉は。
お陰で小説の登場人物に危うく発言させようとしていた。
即、気付いたから良いが。あのまま書いていたら、奈篦みたいなキャラになっていた。
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