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ー龍華家・庭
「志龍は、楽しそうね…」
柔らかいトーンで言葉を発する女性は、微笑みながら、ティーカップを両手で支えている女性を見た。
「えぇ、楽しいわよ。深李が、あまりにも馬鹿すぎて」
「へぇ-っ….。深李という名前なの。克樹の片想いの相手…」
「お宅のボンが、我が一族の“龍”に好意を寄せているのね。これも、龍華家と鳴澤家の関係性からかしら」
涼やかな、風が吹き込んでいく。
志龍は、クスクスと喉を鳴らしながら、微笑う。
古の“龍”を落とせる実力があるのかを拝んでみたいわ。
そんな雰囲気を悟ったのか、彼女は…。
「あまり、克樹を見くびらない方が良いわ。あの子、やる時は、やるの。でなければ、鳴澤家、最高の御上の名が廃るものよ…」
テーブルに置かれてあったティーカップを手にして、彼女は呟いた。
あれぞ、ドM根性と言うのかしらね。
ー…兎に角。
やる事に、慎重で時間が掛かる。
重たい尻を上げるのは、私の役目だと思っているから仕方ないんだけど。
志龍の心を擽る要素が詰まっているのか不思議。
私的には、根性を磨き直して欲しいのが本望なんだけど、彼女が動く事はないわよね。
小説執筆で忙しいし…。
ふっと、彼女に視線を向けた女性は、楽しそうな表情をして。ルンルンしているのを見て、呆れてしまいそうな気分になった。
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