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息子の問題に母親が立ち合うのは、ご法度とされているが。 そうも、言ってられない様子。 深く追求をすれば、息子は逃げる事を楽だと思ってしまうのをリサーチ済み。 なので、鉄は熱いうちに打てという様に、先手を打とうと、彼女は考えた。 けれど、今は、まだ…。 女性が出る幕ではないと静かに心の奥にしまうのであった。 息子で遊ぶのは、何気に楽しいものだと、彼女に教えてあげたいが。早々、教えてしまったら、年寄りの楽しみがなくなってしまう。 だから…。 楽しみは取っておこうと思う女性は、思わず、笑みを溢した。 「…珍しいわね」 「そうかしら…」 彼女は、呆気に取られ、女性を映した。 何を楽しみにしているのかしら。 志龍が笑みを溢すなんて…。 雨でも降らせるつもり? 不思議そうな感じで、彼女を見つめて、考え始めた。 今の笑みは、どんな意味を含んでいるのかを。 絶対、楽しんでいる! これから起きる展開を…。 でなければ、私の挑発を意図も簡単に流したりしない。 顔に『私の楽しみよ』と書かれているわ。 私の直感が当たらなければ良いけど、必ず従弟が絡んでくるのは承知した。 女性は椅子から立ち上がり、黒い髪を靡かせ、庭を後にしたのであった。 それは、彼女の真理が解った合図だった。

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