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視線をずらし、横を見ると、爽やかな微笑みが似合う奴が立っていた。 俺は、金魚みたく口をパクパクさせ、瞬きを何回かしたが。 幻影ではなかったらしい…。 こんな所で。 しかも、家の近くのコンビニで出会すとは思ってもみなかった。 「はい、深李さん…」 忘れもしない。 この男を…。 俺が雨に打たれていた所を、たまたま、発見し。 自宅まで招いて、風呂を貸してくれた恩人と、本来は敬うべきなのだろう。 が、直感的な部分で、コイツの性質が彼方寄りではないだろうかなんて感じてしまい。 言えないでいる。 俺は、コイツの妙な優しさから逃げ出した。 後から気付いたが、確か、風呂上がった時に、名前を教えてしまったんだっけな。 今更、思い出しても、後の祭りだが…。 「深李さん?ビール、温くなりますよ?」 「え、あ、ヤバっ…」 突然、現実に戻された。 タイムスリップしていたのに。 少し残念な気持ちになったのは、言うまでもない。 名前を教えたのは良いが、コイツの名前を完全に聞くのを忘れていたのを思い出した。 せめて、お礼だけは言っておかないとと思ったけど、逃げている途中に引き返すのもアレだから止めた。 結局、コイツは、俺の名前を知っていて、俺はコイツの名前を知らないままって訳だ。

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