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久しぶりに、彼方に意識を飛ばした。 「ありがとうございましたぁ、またの、お越しを…」 店員の声が鳴り響く店内を、俺は急ぎ足で出た。 奴から逃げる様に。 早足で、スタスタと。 「ちょっと、深李さん。ビール、ビール!!!」 ビールは、この際、諦める。 「お前が、払ったのだから、やる。じゃあな…」 だから、着いてくるな…。 「これは、深李さんのですよ。それに、何で急ぎ足なんですか?」 「…」 お前と出会したからだよ。 普通は、コンビニで会うとか思わないだろう。 でなければ、俺が実家から離れた場所に住む訳がない。 つまり、お前と、出会す設定なんて毛頭も無いと思っていたんだよ。 此処は、安全だと、安堵しきっていたのがいけなかった。 身元バレではないが、彼方系の男にバレるとか予想していなく。 完全に、俺が負けた感漂う感じになっているあたり、ゲームで言うと『ゲームオーバー』みたいな科白が出てくる。 だが、悔しいので降参したりしない。 あれは、あくまでゲームの世界での話で、今は、どう回避して家まで辿り着くかが難関だ。 足の速さが何故か、一緒になりそうで…。 ー…嫌だ。 急いで距離を取った。 追い付かれては、元もこうもない。 家に帰るだけなのに、矢鱈と時間が長い気がしてきた。

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