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これを、先ほどから、彼は自問自答していた。
「調理器具や調味料が多いのは、何故ですか?」
男性が、不思議そうな瞳で彼を見つめて、聞いた。
キッチンに並べられた新品の調理器具及び、料理する時に使う調味料が綺麗に並べられている。独身男性なら、ある程度、揃えているだろうが、これを表すなら、凝った料理を作る人が揃えるレベルだ。
男性の従姉も、凝った料理が趣味で、調味料が自棄に多い。
だから、大抵の名前は知っているが。彼の自宅にある材料は特殊な物が多かった。
「気色悪いとか思っただろう。女みたいな並べ方をしているから…」
少々、拗ねた表情をした男性が彼を見る。
「…いえ、逆に驚いています」
「そうかよ…」
真っ直ぐ見られている事に耐えられなくなった彼は視線を逸らす。
実家では、調理器具及び調味料を見た執事や侍女が、一驚していた。
『龍華』の、ご息子が、厨房で料理をしているのが考えられなかったらしい。
趣味でしているだけなのに…。
『手を怪我されたら困ります』だの『坊っちゃま、私達がやります』だのと、邪魔されたものだ。
それは、怒り寸前だった。
跡取りだからといって、大好きな事もやらせてもらえないのが嫌だった。
これが、俺の家出の理由だ…。
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