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旧家の御曹司だからと言って、誰がやってはいけないと決めたのかと、男性は叫びたかった。 料理は彼にとって、趣味で。作る事に意味がある。 経験をしない限り。 良い料理は作れない。 『龍華』という由緒正しき旧家に生まれただけで、阻まれてしまう。 実家に居るだけで、男性には自由すら存在しない。 『深李、よく、聞きなさい。龍華家の直系なのです。後々は、私の後を継ぐ子。けれど、貴方は、否定し続けます。私が憎いですか?』 冷めた視線で彼を貫いた母親は、表情一つ変えずに尋ねた事がある。 『私が憎いですか?』と、答えられない事を解りながら も、問うた。 龍華家に生まれた以上、逃れられない運命だと頭の中では解っているつもりだった。 ただ、息が詰まる…。 それだけが、彼の心奥にあった。 初めて知る感情で、自分でどうして良いかも解らないままで母上様の言葉が今でも残っている。 こいゆう感情を従兄弟に教えてもらいたかったんだが。 彼奴。 『深李様が理解するのは出来ないですよ』と、馬鹿にしやがった。 まぁ、彼奴より、こっちが問題な気がしてきた。 男性は、溜め息を吐きたくなったが、それを止める。 何故か…。 コイツの意図が気になる。 けど、これも初体験でよく解らない。

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