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【克樹side】
シンプルな部屋だと思った。
物は少ないのも、深李さんに似合っている。
それだけでも驚いているのに、キッチンに丁寧に調理器具及び調味料。あのド腹黒従姉も、凝った料理が趣味だから、ある程度は把握している。
此処に並べられた物は特殊。
というか、趣味の範囲を過ぎている気がしてきた。
「お、お前は、料理を作らないのか?」
「作りますよ。でも、一人暮らし用で身に付けた料理です。洋風や中華は、少々、苦手ですね…」
「…俺は和風が苦手だ。中華や洋風は意外と得意」
「へーっ!凄いですね…」
従姉のお陰で和風料理だけが得意になってしまった自分。
逆に、洋風や中華が苦手で、今だに調整が難しい。特に、中華は片栗粉を使う料理がある分、ダマを作らない様にするのが困難。
麻婆豆腐を作った時に白いダマが沢山浮いて、凄く怒られたのを覚えている。
後は、エビチリとか酢豚でも経験済みで、従姉に『料理店に行って習ってきなさない』と、言われた時は、正直、驚いた。
実際、習いに行ったけど。
でなければ、彼女の夫に殺されている。
あの人、料理に関して凄く厳しいんだ…。
習ったお陰で今、生きていられるのは従姉に感謝しなければいけない。
彼の口の中に入る前で安心した。
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