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「酒に酔ったか!お、俺は男だぞっ!」 睨みを利かせ、相手を睨む男性。 「別に酔ってませんよ。ただ、深李さんが可愛かったから…。それに、男とか女とか関係ないでしょう…」 悪びれもなく、吐かれた科白に彼は、ポカンとした。 いやいや。 キスが問題だろう。 頭の中で、そう呟きながら。 「…」 「俺は、深李さんだからしたんですよ?深李さん以外の相手にする必要性もありませんし、需要もありませんから…」 「んっ、ちょっ」 不意を突かれ、二度目のキスをされた。 『俺だって、お前にキスされる需要がない』と、言ってやりたい気持ちが葛藤する男性。 思考を全て持っていかれそうになるのをどうにか防ぎたいのに、上手くいかない。 変に守り続けてきた訳ではないが、男にキスされる程、落ちぶれてないと思う。 「ふぁ、んっ、っ」 深い深い口付けをされ、頭の中が真っ白になりそうなのを、理性で抑える。 二回り下のくせにして…。 何で、キスが、こんなに上手いんだ。 畜生ぉぉぉっ!!! 「へ、変態…。っふぁ」 やっと取り込む事が出来た空気を吸い込みながら、男性は『変態』という言葉を吐いた。 男相手にキスしてくるコイツは。 爽やかな笑顔を浮かべる変態野郎に任命だ。 「変態で結構です。事実、俺がしたいのは、もっと先ですから…」 「にゃっ」 おい、尻を撫で回すな!!! ー…変態野郎っ。 男性の言葉は、虚しく消えていくのであった。

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