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最初は疑問に思い、首を傾げた。 すると、俺が触れた柔らかい感触で察知した。 奴は、自分の尻を触らせたのだ。 顔を見ると、爽やかに笑い…。 『どうぞ、お好きに』と、言った感じだった。 『これで…おあいこですね』 意味が違うと言いたかったが、根っこそぎ体力を奪われた脱力感が残った。 「あぁぁぁぁ…」 爽やか笑顔の変態野郎のせいで、何故、俺がモダモダしなきゃならないんだ。 第一、可笑しいだろう。まだ、出逢ったばかりだし。 「って、そいゆう問題じゃない…」 横に頭を振り、消す。 『面白い事をしているな』 耳に入ってきた声を聞いた瞬間、時計を見る。 うじうじと悩んでいる間に、四時を回っていた。 艶やかな着物に身を包む女性は、佇む。 俺より、やや身長が低いのが特徴だ。 そんな彼女が、ふっと、指摘してきたのは、今の光景だったりするのだろう。 一人、叫んだり、頭を振ったりと、奇怪な行動をしているからだと解った。 鳴呼、昔から見ているなら、俺が悩んでいる姿は面白いだろうな。 しかし、俺だって悩む時は悩む。 その。 主な原因が変態野郎だけど…。 初めて尽くしで、どうしたら良いのか解らない。 だから、悩んでいたのに。 絶妙なタイミングで、彼女が登場。 寧ろ、何で、今なんだ!!!

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