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不適な笑みを浮かべても、綺麗な顔をしている。
『姫』と同じ匂いがする女性を俺は睨み付けた…。
『幼い時以来か。ソナタが一人で百面相しているのは…』
「…」
『無視か…』
幼い頃に百面相なんかしてねぇよ。
ー…何時の話だ。
俺が幼い頃は。
『姫』の厳しい稽古に耐えていた時代で、今みたく、頭を振ったり、奇声を上げたりしていない。
どちらかと言えば、泣いていた記憶しか残っておらず、良い思い出はないぞ。
『まぁ、よい。ソナタが無視しようが、妾には関係ないからな。しかし、妙な匂いを付けている…』
彼女が吐いた科白に俺は脇あたりの匂いを嗅いだ。
風呂は、毎日入っているから臭く無いとは思う。
『…アホ。誰が体臭だと言った』
「っ、五月蝿ぇ」
彼女にツッコマれ、思わず紅くなった。
一瞬、自分の体臭だと思った。
だって。
『妙な匂い』と言うから…。
普通は、匂いを嗅ぐと思うんだ。
でなければ、俺だけか?
首を傾げながら、考えた。
そもそも何の匂いがするのかが気になる。
海王には解って、俺には解らない匂いがするのだろうか。
益々、謎が増えていき、頭の中が混乱しそうだ。
体臭じゃない匂い…。
こいゆう場合は、お風呂にもう一度、入るという選択肢がある。
だが、生憎、今は入りたくない。
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