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口を滑らせた事が禍したか、双眸を細めたまま、じっと、見つめられた。
こうなったら、自分は、黙るしか残されてない。
幼い頃の習慣で身に付いてしまった癖の一つである。
『“龍”に目を付けるとは喰えない、生身の人間。妾の大事な…“龍”に…』
「うっ、っ」
じわりと、背中を走る寒気と急な眠気に襲われる。
ダブるでくる事は大して無かったのに…。
『鳴呼、妾の大事な大事な“龍”よ…。お眠りなさい…』
「海…おぅ」
駄目、意識が保てない。
『お休み、深李…』
俺は耐えられず、そこで意識を失った。
『『鳴澤』の小童か…。勝手な事をしよって。妾の大事な“龍”を…』
だから、彼女が凄い剣幕をした表情で口にした名前すら聞こえなかった。
後々、自分からアイツに関わるのを。
俺は知る由もなかった。
それにしても。
アイツの今後が気になる。
遠退く、意識の中で思い浮かべる事が凄いだろう。
そんな悠長な事を言ってられないけど。
まぁ、彼女が怒っているのは解った。
何処の馬の骨かも解らない相手に『キスされた』となれば、腸煮えくり返るだろう。
しかし、それを表に出さないのは良いが、急に眠気を与えるのは、どうかと思うんだ。
久しぶりにきたから、ビックリした。
しかも、ダブるパンチだしな。
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