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この顔を、後何日見れば良いのか、正直な所、迷惑極まりない。 嬉しさに浸るのは構わないが、仕事をやってもらわないと困る。上機嫌な男性に対して周りの者が逆に遠慮して、近付きにくい状況が生まれているのだ。 仕事に支障を来す訳にも行かなく、書斎部屋に閉じ込めた事もあった。 だけど、仕事を終わらすと、今みたいな状態になってしまう。 「お前、いい加減にしなさいよ…」 グイっと、顔を上げられ、視線と視線が合う。 「…っ」 「その、気色悪い雰囲気を消しなさい…」 「人の幸せを邪魔しないでくれ」 「幸せを感じるのは構わないけど、私達の前で垂らすのは、止せと、言っているのよ。何ですの?甘ったるい雰囲気を漂わせて…」 若干、低い声で、女性こと、鳴澤 奈篦は言った。 「何処で、漂わせようと、俺の勝手だろう」 いや、それが問題なんだと言いたい。 屋敷中に彼の甘々した雰囲気が漂わせている場所に棲んでいるんだと思うだけで、吐き気を伴いそう。 それを、コイツは、お構いなしに充満させようとしている。 私達夫婦を殺す気ですか。 気色悪いが原因の死因って、聞いたことがないですわ。 無論、その時は、ド変態野郎に上乗せして返します。 女性は、心の中で、呟きながら、如何にして、彼を仕事と向き合わす方法を考えていた。

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