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6-3
【奈篦side】
コイツ、刺してやりましょうか。
詠清さんが居なかったら、刺している確証がある。五日前、家に帰って来た時から、自棄に、機嫌が良いし、些細な嫌味すら聞き流すし。
「奈篦には感謝しているけど、怪訝される必要はない。一歩、前進したんだ。今を、邪魔される訳にはいかない…」
しれっとした表情で、克樹は吐いた。
「…」
「詠清さんや奈篦に邪魔される訳にはいかないんだよ。俺が出掛けている間、龍華家に赴いただろう…?」
首を傾げ、私に尋ねる。
相変わらず、喰えない奴ですわね。
「ふーっ」
「…そこで、彼方の“姫”と逢って、話し合ってた?」
感が鋭いのは、たまに、傷だと思う。要らん所で頭を働かす克樹は、決して見逃したりしない。
何時もみたく、愛想笑いを浮かべて、見て見ないフリをしてくれた方が、何れだけ有り難いか。
こうなっては、隠さず話すのがベスト…。
邪魔されたくなかったら。
どうするか。
一番自分自身が知っている筈なのに。
やっぱり、ド変態野郎はバカだと思う。
有意義に…。
幸せに浸っている場合じゃないと、デカい爆弾を投げたら、仕事に取り掛かってくれるのかしら。
だとすれば、私は、大いに。
その、爆弾を投げ飛ばしたい。
克樹の顔を見ると、投げ飛ばしたくなるのよね。
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