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【奈篦side】 コイツ、刺してやりましょうか。 詠清さんが居なかったら、刺している確証がある。五日前、家に帰って来た時から、自棄に、機嫌が良いし、些細な嫌味すら聞き流すし。 「奈篦には感謝しているけど、怪訝される必要はない。一歩、前進したんだ。今を、邪魔される訳にはいかない…」 しれっとした表情で、克樹は吐いた。 「…」 「詠清さんや奈篦に邪魔される訳にはいかないんだよ。俺が出掛けている間、龍華家に赴いただろう…?」 首を傾げ、私に尋ねる。 相変わらず、喰えない奴ですわね。 「ふーっ」 「…そこで、彼方の“姫”と逢って、話し合ってた?」 感が鋭いのは、たまに、傷だと思う。要らん所で頭を働かす克樹は、決して見逃したりしない。 何時もみたく、愛想笑いを浮かべて、見て見ないフリをしてくれた方が、何れだけ有り難いか。 こうなっては、隠さず話すのがベスト…。 邪魔されたくなかったら。 どうするか。 一番自分自身が知っている筈なのに。 やっぱり、ド変態野郎はバカだと思う。 有意義に…。 幸せに浸っている場合じゃないと、デカい爆弾を投げたら、仕事に取り掛かってくれるのかしら。 だとすれば、私は、大いに。 その、爆弾を投げ飛ばしたい。 克樹の顔を見ると、投げ飛ばしたくなるのよね。

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