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恋愛に奥手ではなく、恋愛が苦手なのだ。 文章で上手く、表現出来ていても、いざ、実践になると引いてしまう性分。どんなに美人な女性が、現れようと、段取りを組み立てる事が男性は得意ではない。 だからこそ、今までの恋愛は、飯事みたいな状態が続き、長くは持たなかった。 「サイトを立ち上げ、色んな読者から、注目を浴びている書き手で評判は良いのを知っているわ。私も、実際に読んだ事あるし、伸びる可能性がある才能だと思う。ただ、今は、根を詰まらせている状態かしら」 「大人になりきれていない部分があるからね、若君は。才能を開花させたいなら、本当の恋愛や苦悩を知らないと、今のままでは、立ち往生だ…」 「…」 「何時か、話していた書き手さんの様に、文章で好きな相手に想いが通じるぐらいの、恋愛小説を一つ、書いて欲しいよ…」 再び、茶を啜る彼の顔は、何だか、楽しそうだった。 彼女は男性の考えている事に、黙って、納得した。立場上、違えど、彼は男性より、遥か年上なのだ。 同じ、男として、感じる物があったかも知れない…。 まぁ…。 小説を書く切っ掛けがあったのは本当。 だからこそ、彼が従弟を影ながら応援している。 けれど、本当の恋愛となると…。 ー…厄介よね。 たまに、殺したくなるぐらい腹が立つ男性。

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