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ゆっくりと、寝ているであろう部屋を開ける。案の定、白いタオルケットに、身を包み、熟睡中の男性の姿を捉えた。 レースカーテンが。 ヒラヒラと、風に舞われながら…。 涼しさを感じさせる。 窓を閉めていない所から、何時もの急激な眠気に襲われたのだろう。近くに歩み寄るなり、抱き枕を抱えて、幸せそうな顔をしていた。 安心しきった様な空気が滲み出ている…。 男は、優しく双眸を細め、規則正しい呼吸を整えている彼を眺めていた。 家系譲りの童顔さで、同年代を感じさせない故に、可愛さ余る。一ヶ月、見ないだけで寂しい等と、感じさせるのは、愛しいせいなのだろう。 「起きて下さい」 耳元で、甘く、囁く。 「んっ…」 「起きてくれないと、その愛らしい唇を食べてしまいますよ」 ぷくっと、膨れている唇を、男性は指でツンツンする。 熟睡している時にしか出来ない悪戯だ。 こう、寝ている彼を見ると、そのままいけそうな気もしないではない。 だが…。 恋愛初心者に、自分のやり方をすると、凄くハードルが高いだろう。 今の、深李様が別の意味で悲鳴を上げる。 リスクを下げて、初心者向けから始めようと決めたのは良いが。志龍様の小説の内容が、頭の中から離れない。 これを、実行したく、来たのに…。 初心者に優しいマニアル本を買っておくべきだったと、彼は後から後悔した。

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