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【深李side】
誰も居ない筈の寝室で…。
『起きて下さい』と、耳に入る。
俺は、まだ、眠い。
『起きてくれないと、その愛らしい唇を食べてしまいますよ…』
懐かしい声で、奴みたいな危ない発言が聞こえた。身の危険を感じた俺は、微かに動く。
「…業っとですか?業っとですね、今のは」
んんっ…。
閉じていた瞼を開くと、何故か、一ヶ月ぶりに見る顔が笑んでいた。
いやいや、彼が此処に居るの、おかしいだろう。
その前に…。
どうやって、探り当てたんだ。
「おはようございます、深李様…」
「く、倉科っ」
彼が…。
俺を見て笑む時に限り、背中に寒気が走る。
「一ヶ月間、見つからずに、家出をしたのは褒めてやります。探すの大変でしたよ…?」
「一生、探さないでくれた方が、有り難かった」
視線を横に逸らし、溢す。
俺の中では、一年間ぐらい見つからず、あばよくば、十年ぐらい見つからなければ、完全なる自由だと思った。それを、コイツ、倉科は、一ヶ月で探し当てるとか野生の本能としか言い様がない。
母上様に支えているだけあり、恐るべし忠誠心。
否、倉科の執念?
どっちにしろ、冷えるんだが…。
周りに漂う空気が、全体的に。
コイツ、何を取得したんだ。
母上様…。
新しい技を、倉科に教えましたね。
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