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「…霊が憑いた、誰が祓うんですか?」
顔を向けられ、聞かれた。
「…っ」
「誰が、貴方の体質まで、見るのですか?深李様」
「自分で、祓えないくらい解ってるよっ。倉科が居ないと、霊に寄り憑かれるし、変な男には、よく、声を掛けられるし…。何一つとして良い事はないけど。それでも、俺は実家に帰るのが嫌なんだっ…」
「…」
沢山、我が儘は言ってきたつもりだが、今回ばかりは、折れたりしない。
何の為に、家出をして、入れた自由だ。俺は、今が良いから、報告するなら、そのまま伝えてくれ。
「窮屈なんだよ。息が詰まるんだよ…。龍華という由緒正しき旧家の空気に…」
龍華家に居るだけで、皆が顔色を窺う。
趣味も好きにさせてくれない。窮屈で息が詰まって仕方なかった。
家出をすれば、自由が手に入った。
大好きな料理も堪能して、出来る…。
「言いたい事は、それだけですか?」
「えっ」
「はぁぁ…。深李様は、何も解っておりませんね」
手首を、ガッチリと、掴まれ。
呆れた様子な表情をする。
鼻にかかる柔らかい茶色の毛先が掠めた。
相変わらず、猫っ毛というか、サラサラヘアーだな。
鼻が擽ったくって、嚔が出そうだ。
倉科のアホ、手首を完全にガードしやがって。
この格好、どう見たって、犯しますよ。という、シュチュエーション。
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