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【海凰side】
人の気も知らないで…。
何、可愛らしい事を言っているんですか。
土下座の件は、無しにしませんが、深李様の可愛さを鳴澤家の若君に知られたのは厄介。私だけが、唯一知っていたのに。
役得だと、今まで思っていたから、ショックが大きい。
「ふぇ、く、倉…なし…っ」
可愛過ぎる貴方がいけない。
何時まで、私を苦しめれば済む…。
ー…“龍”よ。
「…っん、はぁっ」
貪る如く、味わう彼の唇は、柔らかく、甘かった。
「ふぁ、んっ、海…凰…っぁ」
あぁ、反則という言葉を、この方は、知っているだろうか。
甘く甘く囁かれる声音が…。
「他の男でも、そいゆう声が出るんですね…」
私が深李様の唇を堪能していると、見知らぬ声が聞こえた。暗くて、顔を、確認出来ないが、声を聞く限りでは若い。
先ほどの行動を一から十まで見ていたのだろうか。
この、寝惚けている深李様を…。
見られたとしたら、後からが大変だ。
覚醒した時に、お仕置きが決定だろう。
そもそも、深李様が家出をしなければ、こんな大惨事にならずに済んだ。
何か、思い出したら、腹立たしくなってきた。
だが…。
此処で、癇癪を起こしたら、紳士としての私の格が下がってしまう。
兎に角、これをどうにかしなければいけない。
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