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名残惜しく、唇を離すと、銀色の糸がぷっつりと切れた。
瞳を潤ませ…。
頬を赤らめた深李様は、暗い寝室で。
「何で、居るんだ?鳴澤…克樹…」
途切れ途切れの声で男性の名を口にした。
「…逢いたくなったから」
「ははっ、六日前…逢っただろう。俺のファーストキスを奪ったのに…」
私の存在を無視し、深李様の所へ歩み寄って来る彼。
これが…。
鳴澤家の若君。
ー…鳴澤 克樹。
「もしかして、深李さん…寝惚けてる…?」
横になっている深李様の髪を触り、優しい声で話す。
「…っ」
「ねぇ、幽霊と俺、どちらに犯されたいですか?寝惚けている…深李さん…」
「…」
「…それとも、従兄弟にあたる倉科 海凰殿も、セットだと良いのかな」
どいゆう質問だ、それ。
第一、寝惚けている相手にする質問じゃないだろう。
深李様が、固まっているじゃないか。
その前に…。
質問の内容が可笑しい。
私まで入れたら、四Pになる。
どう考えても、体勢的に不可能。
彼は、アクロバットな性行為をするつもりなのか。
志龍様が以前、そいゆう本を読んでいた。
中には、体勢が複雑な体位があったのを覚えている。
ちらりと、視界に映っただけだから、あまり詳しくは見ていない。ただ、一部にアクロバットな体位が載っていて、体操選手でも無理があるんじゃないのか、という私の意見。
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