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本当、面倒な相手に男性も惚れられたものだ。
『『鳴澤家』の若君じゃなかったら、蹴り落とす事も、可能だった』と、心の奥で思う彼。
渡す気は更々ないが。
至って、面倒臭いのは、変わりない。
諦め、悪そうですしね…。
「…ま、俺が行動に起こさなくても、深李さんから、関わってくるでしょうから」
「俺から関わる?お前に?」
「えぇ」
意味ありげな科白を吐き、男性は、立ち上がった。
「意味は、解らないが」
「間接に言うと、俺の実家に、嫌でも関わってくるでしょうから…」
「帰るのか?」
「今日は、顔を見たく、逢いに来ただけですから、帰ります…」
にっこりと、微笑みを見せ、彼は、リビングの扉を開け、出て行った。
「ー…変な奴」
潔く、帰る姿が逆に気持ち悪いと思った男性。
そして、何気に、宣戦布告された感じがしたのは、気のせいだろうか。
あれ…。
素なのですかね。
深李様でも、気色悪さを感じている様子。
腑に落ちないのは解るんですが、寂しいという雰囲気が漂っています。
従兄弟の背中を見つめ、半分、呆れた表情をする彼は、今でも背中辺りに残る気持ち悪さが抜けないでいた。
どうやったら、取れるのかを後で携帯で調べてみようと考え。
窓の方へ、視線を向けるのであった。
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