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ー鳴澤家・ライラックの間
「若君は、庭で、ノートパソコンと、睨めっこかしら」
庭から、戻って来た、女性と男性は驚く。
姿勢正しく座り、お茶を飲んでいる彼女を見て。
「…どうして、鳴澤家に?」
「息子に惚れた男性の顔を見に来てはいけないという法律は、ありませんよ。庭に、居るのが、鳴澤家の御上。鳴澤 克樹で、宜しいのかしら」
首を傾げ、二人を一瞥する女性は問う。
ライラックの間から見える美しい庭にあるテラスで。
ノートパソコンを開いているのが、鳴澤家の御上かと。
一目瞭然な筈なのに、何故、確かめる必要があるのかと、彼女は眉を寄せる。
「志龍様、若君は、只今…。忙しい身で御座います。私としても…挨拶が礼儀だと、思うのですが…」
「構いませんよ」
彼の、科白に女性は顔色一つ変える事なく、返事した。
ちらりとしか見ていないけど。
中々、良い男じゃないの。
深李が惚れそうなタイプね。
これ…。
母親の直感。
この際だから、新しい小説に使おうかしら。
タイトルも何だかんだで、決まりそうな予感。
面白い小説になるわ。
だって、息子と若君だったら…。
ドタバタコメディーならぬ、ドタバタギャグですもの。
女性は、脳内で、そんな事を考えながら、今の新作を終わらせたら、新しい小説を書こうと決めた。
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