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一瞬、庭の方へ、視線を移し、再度、お茶を飲んだ。 「ウチの愚息を嫁として、本当に欲しいのか。男同士のモラルを気にせず、周りの軽蔑な視線をあしらう事は出来るのか。また、恋愛ゲームとしてじゃなく、ちゃんとした恋愛をする覚悟は如何なるものかを拝見したいわ…」 「えっ」 「龍華家の者が倉科家の者と契りを交わすのは掟とされ、本来なら深李と海凰は、切っても切れない夫婦と扱われる。でも、夫婦として扱わないのは、深李の中の問題が一番、尊重されているからよ…」 淡々と、話す口調はリズムよく放たれる。 「…」 「自分には、能力は無いと思っている子だから。家系が、特殊で…。ほんの少しだけ霊感が強い。体質は、元から生まれた不幸が持ってきたものだと、思い込んでいる部分があるの…」 彼女には。 母親としての意地があるのかも知れないと、この時の女性は感じた。 『愚息』と、口にするが、本音は別に存在する様な。蟠りが、心を燻る。 穏やかな口調で、躊躇なく話すもんだから。 呆気に取られてしまう。 克樹の顔を見に来たと、捉えたけど。 何か、妖しいわよ。 彼女は、女性の辺りに漂う雰囲気が妖しい感じがしてならない。 従兄弟を見て、何を思ったのかは解らないが、明らかに『良い餌、見つけた』と、顔に書かれている。

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