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“龍”という特別な存在だから?
息子だから?と、聞いたら、志龍は、何て応えるのだろう。
「頑なに拒絶するのよ、あの子。龍王自ら傍に居るのは珍しいの。でも、でもね、あの子は普通に憧れていて…。自由に憧憬している。恋愛も多分、理想が高いと思う。四十八にもなって、恋愛の一つすら、やった事がない子ですもの…。きっと、臆病。手に入れたら?と。次の行動に移せない。そこで、引いてしまう」
ー…あっ。
私は、後ろを振り返り、執筆に集中している克樹を瞳に映した。
「ふぅぅ…」
「私の息子が引き寄せてしまうのは“恋愛”において…。何らかの理由がある人間。だから『ウチの愚息を嫁として本当に欲しいのか。男同士のモラルを気にせず、周りの軽蔑な視線をあしらう事は出来るのか。また、恋愛ゲームとしてじゃなく、ちゃんとした恋愛をする覚悟は如何なるものか』を確かめたいの」
「…」
「それでは、理由になりませんか?詠清さん」
それ等を克樹に確かめたとして、志龍に得はあるのかしら。
えぇ、克樹なら…。
彼なら、迷いなく言うと思うの。
猪突猛進で後先を考えない馬鹿だから。
私から見ても、相当な馬鹿従弟だと思うのよ。
志龍の目に敵ったと、捉えて良いのかしら?
だとすれば、あの賭けは、私が大負けじゃない…。
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