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母親なのだから、当然の如く、いきなり現れた第三者の俺には、諦めて欲しい筈だ。
両家の円満を考えたら、邪魔者でしかない。
深李さんがフルか、俺が諦めるか。
「最初、知った時は、心中穏やかではなかったのも本音で御座います。だからと言って、古くから付き合うのある鳴澤家と啀(いが)み合うつもりはありません…」
「遠回しじゃなく、はっきり仰ったら宜しいじゃないですか。俺が邪魔だと、息子を諦めて欲しいと。その為に、来たのでは?」
「…っふ、くっ」
な、何だ。
肩を震わせる彼女は、口元を押さえている。
「あぁ、駄目、駄目よ。ふふふっ、涙が出そうですわ。っ…ふっ…」
俺、真面目に言ったつもりなんだけど。
笑われる要素を一切、含んでいないと思うんだ。
何がツボだったのかを考えた。
しかし、俺の頭の中には彼女が笑う要素は無いと出た。
緊張して、真剣に答えたつもりが…。
誤算だった。
こうして話すと、龍華家の姫もユーモアがあると言えば良いのか。ただ、俺の中では、そいゆう感じがした。
親に挨拶するという気持ちって。
今みたく、心臓バクバクのオンパレードなんだろうな。
あ、関心している場合じゃなかった。
俺が結婚したいのは、男であり。
彼女の息子だ。
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