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「あ-…失礼。別に邪険にしているつもりはないのよ?諦めて欲しいとも思っていませんから…」 龍華家の姫って、心も、読める特殊能力があるのだろうか。それとも、俺の表情が、漂わせているのかな。 「そう、諦めて欲しい訳じゃないのよ。深李を、好いてくれて、感悦しているのも半分。それは、母親としての面ね。龍華家の姫としての面では、無念遣る方ないって、ところかしら。何故、深李が“龍〝か、知っていますか?」 「…いいえ」 、「龍王自ら、寵愛をお掛けになったからよ。深李は、生まれた頃から、特殊な体質で、本人曰く“不幸体質〝と、呼んでいるけど…。決して、不幸体質ではないのよ。霊感が、強いから、寄せ付けてしまう。今までは、海王が、祓っていたのだけどね。深李も、良い年齢になったわ…。いい加減、自分で、祓えるぐらいの力を、身につけて欲しいの…」 渋々語る女性は、母親の顔に、なっていた。 深李さんの事を…。 ちゃんと、考えている。 考えていなかったら、鳴澤家にまで、赴いたりしない。 だけど、生まれ持った体質を、どうにかしないと、いけないのは知っているけど。 深李さん、変な所で虚勢を張るからな。 俺から、霊媒体質の事を言われたら、怒るのが、想像付く。 その前に、龍王から、加護を受けている筈なのに、破天荒な部分というか、無邪気な部分が、大きい気がする。よって、祓いは、深李さんに、不可能なんじゃないかと、俺の中で、結論が出た。 完全に、加護を無視していそうなんだ。 ー…彼。 基礎から、学ばすの大変じゃないかな。 それだったら、俺が、護る側で、祓いをすれば、第一関門、突破。 龍華家の姫も…。 安心するんじゃないかと、思う。 単に、俺が、深李さんに…。 ー…祓いをさせたくないだけだ。

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