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12ー5
ふっと、倉科 海凰の科白が浮かばれた。
彼も深李さんの身を案じていた。特殊体質な上
、引き寄せてしまうのは死者が殆ど。
時には遺恨を持つ霊もいた筈だ。
それ等を祓い除けていたのかは、各いう倉科 海凰という男性。
「家出をした事は、成長の証だと思っていますのよ。ずっと…温室育ちだったあの子が初めて起こした小さな反抗です。母親として、嬉しくない訳ではありません。きっと…貴方と出逢ったのも運命なんでしょうね…」
「…」
「だから…敢えて、私から…あの子の母親として聞きたい事があります…」
目元を緩め、優しい表情で女性は、俺を見た。
「はい」
「鳴澤 克樹殿…。貴方は、深李と、本気の恋愛をする覚悟はありますか?よく、お考え下さい。一生の問題です。今までみたいに恋愛ゲームでは済まされませんよ。深李は、龍華家にとって、特別な存在である“龍”です…」
龍華家にとって、特別な存在。
俺にとっても、特別で、愛しい存在。
十代の頃みたく、遊びの恋愛をする年齢じゃないのは、自分自身でも解っている。
尚更、深李さんが許したりしないのを俺は直感的に感じた。
なので、俺も彼の意志に従うべきなんじゃないかと、思い始めてきた。
恋愛初心者と恋愛する訳なのだ。
何時までも、逃げていてはいけない気がする。
深李さんと…。
一緒に、本気の恋愛をしてみたい。
俺は、心の中で、そう呟いた。
最初は躓くだろうけど、其処はお互いに手を取り合っていけたら良いな。
なんて…。
少し、照れ臭くなった。
彼女が言う様に、至難があるのも理解している。
その、部分を二人で越えていきたいと、改めて、確認させられた感じがした。
ー…もう。
心は、決まっているじゃないか。
好きな相手と、恋愛を楽しむのがベストだと。
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