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横で奈篦は口元を押さえ、笑っているし。 憂いを帯びた表情を浮かべ、詠清さんは、ロリコンの意味を必死に考えている。奈篦の容姿が童顔だから、はたから見ればロリコンで犯罪。 ただ、周りは詠清さんに対して、震撼すると思う。 笑顔が常に絶えない人間の顔は、えげつないから。 「えぇ、ロリコンでしょう」 「それを言うなら、志龍の旦那様もロリコンに値するわね。とても、一人息子が居る様には見えない容姿ですもの。でも、志龍を選んだのは何故かしら?」 「…」 本当、不思議そうな表情で、奈篦は、彼女を見た。 好きになったから、結婚したとしか言い様が無いと思うけど? 「低身長、胸が豊富なドが三付く…腹黒魔王と名高い龍華 志龍を選んだのは今でも謎だったりするわ…」 いやいや、奈篦も、人の事言えないぞ。 低身長、胸が豊富なのは同じじゃないか。自分を棚に上げてどうする。 唯一、違うとすれば、奈篦と詠清さんの間には、子供が居ないだけであり。 後は、然程、女性と変わらない。 何で…。 子供を作らないのかを、昔、尋ねた事あるけど。 『まだ、作る気が無いからよ』と、はぶらかされた。 あれ以上、深く追及していたら、俺の命はないだろう。 今、あるのは、彼女に子供の件を、しつこく問い質さなかった事である。 これを、奈篦が聞いていたら『殺したかったわ』と言っていそうだ。 まぁ、女性のお陰で、考えていた事を読まれないでセーフであった。 従姉ながら、俺の顔を見て、何を考えているのかを理解してしまう時がある。所謂、顔に出ているらしく、解りやすいらしい。 あくまで、奈篦の場合だ…。 どう見ても、二人共、同じ身長だし。 胸が豊富なのは変わらないから。 お互いに、ドが三付く腹黒と、認めるべきだ。

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