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見なきゃよかった
そういえばあの薄っぺらいエロ本、あそこに入れてたよな。
あの引き出しは、兼嗣がいつも書いてる日記を保管している場所だ。
さすがに内容まで見たことはないが、俺がいるときでも平然と書いてることもある。
今まで中身なんて見たいとは思わなかったのに、何故だか今日は物凄く気になった。
まあ、鍵がかかっていたら素直に諦めるし……。
言い訳みたいに心のなかで呟いて、忍び足で移動し、机の一番上の引き出しに手をかける。
そこは俺自身が逆に驚くくらい、あっさりと開いた。
……やばい、かな。こんな、プライベートに土足で踏み込むようなこと。
しかもさっきのエロ本の下に、いつも兼嗣が書いている日記の表紙がもう見えている。
よくある見慣れた大学ノート。
いやいや……これはさすがにだめだろ。
他人の日記見るとか、スマホこっそり見るくらい良くないことだ。
だめだけど……、でも。ここまで来て何もせずに引き返すのも癪だった。
正直、兼嗣に精神的に負かされたような気がしたのが屈辱で、根に持っていた。
あいつにはそんなつもりなかったのかもしれないけれど。
だから何か……。単純にムカついたし、やつの弱味を知りたいと思ってしまった。
どうせ兼嗣は風呂に行っていてしばらくは帰ってこない。
一ページだけ見たら、とっとと部屋に戻ろう。
そう思い、俺はノートを手にして、パラパラと適当なページをめくった。
──××月××日。
今日は学校が休みで、試験もしばらくないから、朝からみーちゃんの部屋でテレビ見てた。
同室になれなかったのは残念だけど、これはこれで充実してると思う。
朝ごはんの後にテレビ見ながらくつろいでいたら、暇だったのか、後ろで寝転んでいたみーちゃんに背中を蹴られた。たまにしてくる。みーちゃんは相変わらず足癖が悪い。
でもちゃんと手加減してくれてるみたいで、痛くないから全然イヤじゃない。
でもちょっと困る。だってかわいい。
俺のことを足蹴にしながら、イタズラっぽく笑うみーちゃん。かわいい。
いつも素足で蹴ってくるの、かわいすぎて、寝転んでるからお腹が丸見えで、ゆるゆるの半ズボンからちょっとパンツまで見えているのが無防備で、足首つかまえて腕の中に抑えこんで、爪先から頭のてっぺんまで舐めてやろうかと本気で思った。
まあ今はまだしないけど、いつかは絶対舐めたい。
一体どんな反応するのかなあ。
嫌がるかな……。嫌がるよね。
でももしかしたら、意外と可愛い反応するかもしれない。
可愛いって、どんなだろう。
みーちゃんの可愛い顔、いっぱい見てみたい。
昔は黒かった髪は中学から金色になってしまったけど、白い肌に似合っていてきれいだ。
ちょっと悪そうな笑顔はずっと、子どものころから変わらない。
たまにふざけて腰や脇のあたりをくすぐったら、いつも顔を真っ赤にして笑いながら、うっすら涙目になるのが、えっちでかわいい。
いつも死ぬ気で我慢してるけど、そのうち爆発しちゃいそう。
もしかして、腰や脇が性感帯なのかな。
今度機会があったら、さりげなく触ってみようと思う。
いつもみたいにじゃれ合ってるときでもいいけど、寝ているときに試してみても──……
「……は…………?」
待て待て待て待て、恐い、恐いってこれ。
これ誰?俺のこと?え?
なんて?何これ??
うん?????
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