12 / 123

君でできた僕しかいない世界

 やっばい、いつもいつもこういうことがあるから、そのたびに俺は沸きあがってくる情欲を抑えつけて、我慢して……。  自覚したのは小学校の高学年のときだった。  最初は勘違いだと思った。  子どものころから知ってるみーちゃんに、そんな劣情を抱くわけがないって。  自分とは正反対な性格のみーちゃんに、男としての憧れを勘違いしてるだけだって、そう何度も自分に言い聞かせた。  だけどそうこうしているうちに、好きになるアニメや漫画のキャラクターは、軒並み言動が激しくて、味方なのにちょっと恐いギャルやヤンキーのような悪役っぽいキャラばかりになっていって。  それがどんどん、年齢を重ねていくごとに拗らせてしまって。  思えば初めての精通も、みーちゃんとのちょっとエッチな夢だった。  当初はそれが疚しくて穢らわしくて良くないことなんだろうと、罪悪感からひとりでは抱えきれなくて。  神妙な面持ちで、夢の中でみーちゃんとキスをしてしまった話を、何を思ったか本人にした。  自分が楽になりたいがためにした告白に、案の定彼は言葉もなく目を丸くした。が、次の瞬間には、吹き出して笑い飛ばしたのだ。  “なんだそれ、そんなこと気にするな”って。  言われた途端に、目の前が明るく、晴れ間が見えたような気がした。  それは今思えばお互い小学生の子どもだったし、みーちゃんはいつも明るくてさっぱりした性格だから、単にそこまで深刻に捉えていなかったんだろう。  全然気にしてないあっけらかんとした様子に心底安心して、彼の器の大きさに、優しさに甘えた。

ともだちにシェアしよう!