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後悔先に立たず

「そんな、つもりじゃ……」 「ひどいなあ……。ひどいよ、本当に。みーちゃん、俺ね、ずっと怖かったんだよ」 「……?」 「いつ、みーちゃんに愛想尽かされるのか、心配で、不安で、怖くて」 「……」 「でもみーちゃん、何もなかったみたいに振る舞ってたから。ずっとそのままでも、いいかなあって思った。隣に、いられるだけで」  俺に暴れる様子がないことを察したのか、脚から手が離れる。  愛おしいものを見るような、でもどこか危なげなうっとりとした表情で、息を飲む俺の頬に、そっと指先を滑らせる。 「はは、そういう顔できるんだね。可哀想な被害者みたいな、見てるこっちが悪いことしてる気分になる。そんな目で見られるくらいなら、もっと早くこうしておけば良かったよ」 「……あ゙ッ?」  その台詞に苛立ち、声が尖ると同時に、頬を撫でた指先が、今度はぐっと強く顔を包んだ。  手がでかくて、顎までしっかり顔を固定されると、ぎょっとして肩に力が入る。  俺はここで、この時点で。 ──いや、そもそも『試したのか』と聞かれたときに、そうではないと即答するべきだったんだ。

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