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どうしてこうなった

 忌々しい悪寒はぞくぞくとした別の熱い何かに変わりそうで、これ以上は知りたくなくて。 「ん……っふ、んっ、んぅ!」  さすがにもう我慢できない。  ねちっこい口付けをやめさせたくて、上体をくねらせ、相手のTシャツを掴んだまま胸や肩をドンドンと叩くが、なんのダメージもない。  苦肉の策で、重なった身体の隙間に、無理やり膝を曲げて滑り込ませる。  腹に力を入れ、兼嗣の肩口を、渾身の力で蹴りあげた。 「……っ、!」 「──っは、はぁ……ふ……んっ、は……、」  沈黙した室内に、自分の息遣いが聞こえてうるさい。  窒息ぎみで、苦しくて肺いっぱいに酸素を吸いこむと、泣いているときのように嗚咽が漏れた。  動揺しているのが丸分かりだ。  恥ずかしいから抑えたいのに、唾を飲み込むと余計に、呼吸が弱々しく震えた。  噛んだ自分の唇がぬるついているのが気持ち悪い。  汗だくで、恐怖に怯える小動物みたいな自分に反吐が出る。  それでも、やっと離した兼嗣を牽制するために睨みつけた。 「……っ、ふ……ぅ」 「……本気で抵抗しないの、なんで?」 「は……っ、してんだろうが……っ抵抗!」  ぐ、と肩に置いた足先に力を込める。  ゴツゴツした骨の硬さと血の通った筋肉の弾力が足の裏に伝わる。  兼嗣の肩は思った以上にしっかりと逞しくて、また知らなくていいことを思い知らされる。  腕力で敵わなかったから足にしたけど、これでだめなら本当に後がない状況だ。  中断させられたのが不満なのか、兼嗣は憮然としたどこか冷たい表情で見下ろす。 「というより、挑発じゃないかな」 「っんの、やろ……!」  俺ばっかり必死で、翻弄されて、それがとてつもなくムカつく。

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