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じれったいんだよ
それはもう、背筋を仰け反らせて、乳首と脇腹と太ももを行き来する兼嗣の淫らに動く手に、自ら胸を押さえつけそうになるのを──今にも誘うようにくねらせそうな腰を、寸でのところで我慢するくらいに。
銜えた指の側面を、さらに強く噛みしめる。
これで満足してくれるならそれでいい。けど、決定的な快感がほしくなる前に、とっとと終わらせてくれ。
身体に、腹の奥に着実に火種が蓄積していく。
皮を被ったまま半端に勃ったそこから、たらたらと先走りが腹をつたって顔の近くに垂れてくる。
こめかみに汗が滲み、それが頭皮を伝う感触にさえ身震いしだして、もどかしい。
「……っ、か、兼嗣……、も、お前のやり方で、いいから……」
一体どれだけの時間がたったのだろう。
生ぬるく、遠回りな愛撫に気が狂いそうだった。
穴に触れてこないなら、そこまで酷いことはしないのかもしれない。
素股とか手で扱くくらいなら、この際やってやってもいい。
とにかく人の身体中を変態みたいに撫でまくって、バター犬みたいに舐めまわすのをやめてほしかった。
「みーちゃん?」
「耐えられ、ない……ッ、かねつ、ぐ」
「あぁ……みーちゃん、気付かなくてごめんね。無意識に焦らしちゃってた?」
労るように頭を撫でてきた手は、俺の身体を触っていたときのように大きく優しくて、素直に縋って頷きそうになる。
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