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好物は最後に味わう

 何とかふるふると首を横にすると、兼嗣は柔らかな雰囲気で、いつものような眉をさげた少し情けない顔で微笑む。 「ほんとにごめんね。ずっと、みーちゃんって美味しそうだなあって思ってて……。あんなジャンクフードばっかり食べてるくせにね」 「……それで、食ってたの?」  こんな状況だけど、兼嗣の変態具合にだんだん慣れてきている自分の順応力が恐ろしい。  薄い本は前に見たのが初めてだけど、こいつのエロゲなら何度かやったことあるし。  兼嗣は隠してたつもりだろうが、性癖はアブノーマルなんだろうなあ、とは以前から何となく知っていた。  まあまさか自分にその感情が向けられるとは思ってなかったけれど。  それに加えて、この体勢。  浅い呼吸しかできないのが苦しい。  酸欠と、頭に血がのぼって、思考力も落ちてる気がする。手足もだるくて、力が入らない。  いくら兼嗣が腰を支えているとは言え、長時間していい格好じゃない。 「……ん、味わってた。でも一番好きなものは最後にとっておくの、知ってるでしょ」 「あぁ、知ってる……。な、なあ……、体勢、」 「しっかり見てて、俺が食べるところ」 「っへ、ぁ……ッ?!」  下半身の思わぬ違和感に変な声が出た。  恐るおそる首を擡げると、兼嗣が舌を出して、後孔の表面をちろちろと舌先でくすぐって、見せつけるように、じゅるじゅると舐めしゃぶる。 「うぁあっ、うそ、うそ……っ、いやだ、そんなっ」  制止の意味で手を伸ばすと、そのまま指を絡めてしっかり繋がれ、身体の横に持っていかれる。  下品な音を立てながら表面をずるずる啜って、中央へきゅっと寄った皺の感触を楽しむみたいに、尖らせた舌先でぐりぐりと円をえがく。 「あっ、あぁ……ッ、だめだぁっ、そこ、それ、入っ……ッ」  全身の血管が膨張する。  血の巡りが急激に速くなるのを、自分でも感じた。

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