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そして自分に裏切られる

 ケツの穴はもうひくついて止まらないし、普段の面影もないくらい真っ赤になった涙目で、こっちは恥ずかしくて死にそうだってのに。 ……自分でさえ、情けなくて滑稽で、気持ち悪いって思うのに。  兼嗣は嫌悪感なんて全くなさそうな、むしろ穏やかな表情で。  どうしようもなく恥ずかしくて苦しくて思わず叫んだら、繋がれた手がするりと離れて、汗で濡れた手のひらがひんやりした。 「……っ?」  執拗に尻穴を舐めまわしていた舌は会陰をたどって陰茎に這いずって、下から舐めあげ、先端をぱくりと銜える。  出入りするものがなくなって唾液で冷える後孔には、熱い指先が触れた。 「っは……、いやだ、やめ、ッ──!」  ひぃっ、と息が詰まった。  収縮する内壁を掻き分け、問答無用にズブズブと中指が挿入される。  表面と、入ってすぐのところは兼嗣によってベタベタに濡らされているが、もっと奥はそうじゃない。  突っ張るような異物感に、とっさにシーツをぐしゃぐしゃに掻き集めた。  刺激から逃げるように腰が引きつって、意図せず兼嗣の喉奥を突き上げてしまう。 「っぐ、んぅ゙……っゴホッ!」 「ッうぁ、ごめ、んぅ……ッ!」  兼嗣が責めるようにこちらを一瞥する。  獣のような荒い呼吸と色情に染まった目が合って、羞恥で腰の奥がぞくりとした。  なんでそんな、平気な顔で同性のちんこ舐められんだよ……。  噎せたくせに兼嗣の頭は上下し、仕返しとばかりにじゅぽじゅぽ下品で卑猥な水音を立てながら、ナカの指が早々に二本に増える。 ……痛い、のに。  苦しくて苦しくてつらいのに。  唾液を含んだ口の中で、敏感な括れの部分を舌でぐりぐりされて、後ろの引きつるような痛みが、少しずつ快感で塗り替えられていく。 「うァっ、やだ、やめッ、やだやだやだ、かねつぐ……っ」  太ももの裏を掴み、ぐっと足を開かれて、兼嗣の体重がかかる。折り曲げた身体が痛い。  尻の中を探るように動く指が襞まで待っていって、臓物を直接かき混ぜられてるみたいで吐きそうだ。  息もちゃんとできない。  吸っても吸っても、肺に穴があいてるみたいに空振って、酸欠で脳がぐらつく。 「は、ぁ……っ、も、いじるの、ゃめ……っ」 「……でも、ちゃんと勃ってるよ」  そんなの、そんなの不可抗力だろ。  そこを刺激されたら、誰だってそうなる。  ましてや嫌いな他人じゃないんだ。  唾液をたくわえた口でモノを根元まで銜え、ズルズルと空気を含みながら啜られる。  口の中の柔らかくぬめった粘膜の感触と、ぐにぐ動くあたたかい大きな舌に責め立てられ、下半身に熱いものが広がる。  じくじくと甘だるい、疼き。

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