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悦びの涙みたい

 兼嗣はそんな俺の様子を眺めながら、穴から零れたローションを二本の指ですくい、体内へ押し戻して、栓をする。  そしてそれが出て行こうとずるりと動きはじめた次の瞬間にはもう、そこからただ熱い感覚だけが、熱された鉄の棒みたいな衝撃が、強烈に背筋を貫いて。 「……──ァ、ァあ゙……っ、! や、ッは、っ、ッ……!」   首や手足が筋張るほど、身をよじる。 ……なんだ、これ。ローションに何か、入ってたのか。  冷たさはすぐに気にならなくなって、もはや熱しか感じない。  指がスムーズに抽挿を繰り返し、しばらくするとそれは三本に増えた。 「一気にカラダ、真っ赤になった……。もしかして、気持ちいいの……?」 「はっ、ぁや……ちが、よくない……っ」  息も絶え絶えに答えると、兼嗣の指はぐるりと角度を変えて、探るように色んなところを押し動きだす。  ナカに埋められた質量が大きくなっても、拡がって柔軟にかたちを変える後ろは、やつのゴツゴツした指を喜々と感受して。  指を根本まで突っこむと、奥まで拡張するように、上下左右に直腸を揺すってくる。  ローションのせいで、激しく動かされるとぴちゃぴちゃと水音がした。  ぬるぬるした指の固い節や、長さ、皮膚の感触を感じて、それがある一点を掠めるたびに、びくびく断続的に腰が跳ねる。  勝手にうねり、のたうつ身体を支えようと、両手で枕を握りしめた。 「ぁっ、あ……ッは、ぅ、ぁあ゙……ッ!」 「……あ、ここ、コリコリするところある……。さっきからビクビクしちゃうところ、これだよね、前立腺」  ぜんりつせん……?  腹側の、少し浅いところ。  あくまで人畜無害みたいな、少し火照った優しい顔でこちらを見ながら、兼嗣はそこを指の腹でぐりぐりと円をえがいて押し潰す。  途端に全身に毒がまわったようにどろりと溶けそうになって、わけが分からなくて、奥歯を噛みしめる。 「ッひぃ──……ぁあっ、やめ、やめて……っ、それ、あぅ、んぅ……!」  指で器用にその一点をぐりぐりされて、尻がびくんっと波打った。  足の爪先にきゅっと力が入り、湧きあがる熱の波に歯の根が震えて、ガチガチと噛み合わない。 「っいぁ、く、ぅゔ……な、に、ッん、何が……ぁ、あぁん……っ!」 「……っ、たまんない、な……」  自分の身体に、何が起こっているのか分からなかった。

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