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余韻でなく後遺症

 その感触で、自分の肉体を実感する。  よかった。カラダ……、ちゃんとある。  長時間無理な姿勢だったせいで、太ももを擦り合わせるとズキズキと腰に響いてあり得ないほど痛かった。  その脚の感覚は、今は痺れてよく分からない。  狭くなった気管支から、ひゅーひゅーと死にそうな自分の呼吸音も聞こえる。  うっすら目を開けると、兼嗣の胸から下が視界に入った。 「っは、は……ぁ、……っ」 「……」  ぎし、とベッドが軋む音に、身動いだ兼嗣を目だけで見上げる。  疲労困憊で、すぐには動けない。 「みーちゃん……」 「?」 ……なんだ、何。  赤面した兼嗣は、何か言いたげに口をわなわなと震わせている。  もしかして、やっと謝る気になったのか、こいつ。  さすがに今許せと言われたら無理だが、土下座して赦しを乞うて、心からの謝罪を述べるなら、これからの行動によっては許してやらんこともない。  ていうか声さえ、まだ出ない。  話す気力と、それ以上に身体がだるくて余力がない。 「……は、ふ……」  未だ呼吸が整わず、血がのぼった頭もしっかり働かない。  思い出したように、まだ腰がひくつく。  いつまでも甘ったるくまとわりついてくる余韻、もとい後遺症に、目をつむって安静にした。

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