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熱帯夜

 見ないで、くれ。こんな情けない姿を。  羞恥でかあっと身体が熱くなったとき、無意識に、でも今度は自分でもはっきり分かるくらいに、後孔がもぐもぐと蠢いて。  兼嗣のを扱くようにそこが蠕動し、その熱く肉々しい感触に、自分でも煽られる。 「っふ、ぁ! ッも、イ、イくっ、やッ、イく、だめ、だめ、ァあう……ッ!」 「ん……、いいよ。イって、みーちゃん、俺の、みやび……っ、」  だれが、お前の……っ!  そうは思うが、兼嗣があまりに心酔しきった吐息まじりの声で言うから、毒され、昂ぶって。  揺さぶられるがままの俺の両腕を掴んだ拍子に、その流れで兼嗣の分厚い身体にしがみついた。  腹の間でぬちゃぬちゃと自身が擦れ、だらだら漏れる先走りが互いの肌をぐちゃりと濡らす。  合わさった肌が熱を分け合って、境界線もなくどろどろに溶けだしていくのを全身で味わう。 「あっ、あぅッ、んぁッ、ぁァあ──っ!」 「は、ぁ……みやび、呼んで、俺のこと……っ」 「あっ、ぁあ……っ、かねつぐ、かねつぐ、ぅあ……っぁあぅ……ッ」  ばちゅばちゅと打ちつける、破裂音の間隔が短くなっていく。  それだけ兼嗣の余裕が擦りきれ、限界に近いらしい。  粘着質な音も、いやらしい匂いのする空間も、擦れてぬめる勃起したそこも。  すべてが淫らで切ない疼きに変わって、腰がガクガクして、そのもっと奥から、鮮やかな快感の波が湧きだしてくる。  暴力的なまでの愉悦に口を開きっぱなしにして泣きながら喘ぐ俺を、兼嗣が強く、感極まったように、手繰りよせて掻き抱いた。 「は……っ、すきだよ、みやび。全部すき……っ、かわいい、すき、あいしてる……」 「は、あ……ッ、あぅんっ、アっ、も、やっ、やぁッ、だめ、だめッ、出ちゃ……っかねつぐ、かねつぐっ……、~~ッッ!!」 「……おれも、もぅ……っ」  そんな……、そんな愛おしそうな顔、するな。  合意のセックスみたいな雰囲気を出すな。  同化した熱い肌が、荒い息遣いが、余裕のない声が、熱い手のひらが。大きな身体と、嗅ぎなれた匂いが。  兼嗣に抱かれている事実を、突きつける。  俺はお前なんてすきじゃない。  サイテーだ、俺の身体、変なふうに改造しやがって、こんなに、気持ちよくなったら、もう、もどれない、せいじょうなはんだんも、なにも、わからなくなってしまう。 「やっ、ぁ……イ、イってぅ……ッ、たすけて、イくの、とまんな……っ──!」 「ッん、は……っあぁ、!」  もう何を口走っているのか自分でも理解できてない。  自分で自分を制御できない。  耳許で、兼嗣の切羽詰まった低い吐息が吐き出され、極限まで膨れ上がった快感が、熱が、どろりと身体中を満たす。  

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