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後悔はあとから

 そりゃあそうだよな、という気持ちと、バレたくない一心で、俺は信じてもいない神に祈るように、ぎゅっと目を閉じる。  ばふ、ととっさに兼嗣が俺に布団をかぶせる。  瞼の裏が真っ暗になった。   頼む頼むたのむ……っ!  もう祈るしか、なす術がなかった。 「……て、いうか、えっ、えっえっ、ちょっと待って。待って待って。幻覚かな? こわいこわいこわいこわいっえ?」 「……何が、」 「みっ、見間違いじゃないなら、そそっ、その足……誰の? 男子寮だぞ、ここ……」 「……いいから、今すぐ出ていけ」 「はいぃっごめんなさい! 俺は何も見てないから……っ!!!」  バァンッ!と扉の閉まる爆音が部屋に反響し、今度こそ口から心臓が出ると思った。  バタバタと廊下を走る足音が遠くなり、室内はまた無音の重い沈黙に満たされる。 ……バレた、よな。今のは。  布団をめくって覗きこむようなことをしなければ俺の顔は見られていないだろうが、兼嗣は完全にバレた。あと、 「……お前のあんな低い声、初めて聞いた……」 「俺も……初めて人に凄んだかもしんない……」 「は……、死ぬかとおもった」  暑苦しい布団を身体から剥ぎ取って、深呼吸する。  まだドキドキしてる。全然収まらない。  だって何も解決したわけじゃねえし、脚、見られてるし。安心には程遠い。

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