63 / 123

初心者に無体

 まずは花岡にどう言い訳をしたものか……。  明日のことを考えると胃痛がしそうなくらい気が重い。  でもそれは俺が言うより兼嗣から言わせたほうが自然だよな……なんて、色々考えていたら、 「……感じすぎて?」 「はっ? なんでそうなる……!」  アホか!こいつはっ、……アホか!!?  お前もドキドキしてたくせに、ヤバイって顔してたくせに、ふざけんのも大概にしろよ?!  難を逃れて脱力したせいか、気が大きくなっていた。  だから、さっきまでの疲労感も忘れて動けた。  でも、動いたら、忘れていたものが全部、リアルになって。   「……ッ、」  ずく、と腰の奥が痛み、兼嗣の柔らかくなったはずのモノが、また芯を持ちはじめていて。 「……挿れっぱなしだったから、呼吸とか緊張のたびに締めつけて、とろとろのナカで揉みもみされて、すごかったんだよ……」 「っは、ぁ……っ?」 「あのまま突き上げたいくらいだったけど、さすがに俺以外には見せたくないや……。すごい、緊張したね」  ゆるゆると再び動きだす腰と、どさくさにまぎれて覆い被さってくる兼嗣に、腕を突っぱねて拒絶する。  腰がざわつく。つい今までの行為が、鮮明によみがえる。  空気がまた、いやらしい色と匂いに淀む。 「ちょっ、おい……ぁぐっ、」   ひくんっ、と生理的に腰が跳ねるだけで、腹の奥の臓器も筋肉も、響いて死ぬほど痛いのに、兼嗣のモノはなんの抵抗もなく前後しだす。  ベタベタに濡れて解れているからとかじゃなくて、後ろがぽっかり空いたまま、締まらなくなった感じ。  内臓も弛緩して触られやすいところまで下りてきたまま、まだ元の位置に戻ってない。  変わってしまった自分の肉体がもはや他人のものみたいで、やるせなくて。

ともだちにシェアしよう!