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翌朝。副作用

──……  翌日、俺は自室のベッドで目を覚ました。  部屋が明るくて、目を眇める。まぶしい。  近くでテレビの音がする。廊下から人の声も。  遠くで聞こえる寮内の男共の喧騒に、朝というより、もう昼を過ぎているかもしれない。 ……今日、休みだよな。  休日だから、昨日兼嗣の部屋にいたんだもんな。  いつここまで戻ったのか一切覚えていない。  しかしあれだけ汚れたはずの身体は嘘みたいに清められていて、きっとまた兼嗣に運ばれたのだろうと容易に想像できた。  いっそ嘘だったらよかったのに。  夢だったら、どんなに楽だったことか。  だけど行為の残滓は身体中に残っていて、起床早々、その願望は儚くも砕け散った。  まず節々が痛くて起き上がるのに苦労した。  そしてカラッカラの砂漠で眠っていたのかと思うくらいに喉がひりついて、何度も唾を飲みこむ。  上半身はまだまともに動くが、ベッドの梯子に手をかけると二の腕と肩が鈍く突っ張る。完全なる筋肉痛だ。  たぶん後ろに引かれたり、あまりに目に余る行動をしたときは力任せに殴ったり、突き飛ばしたりしたから……かも。まあ相手は飛ばなかったけどな。  下半身全体、主にケツの穴と腰と股関節が、動かすたびに両足の付け根から足の裏までビリビリと神経に響く。  膝がガクガクして、ふらつきながら梯子をおりた。 「おはよ。お前よく寝るなあ。いつ帰ってきたの?」  起きてきたことに気づいた廣瀬が、スマホから目を離さずにのんびりと言う。  俺はまだ股の違和感が抜けず、ふわふわした覚束ない足どりでゆっくりと冷蔵庫まで向かった。 「……ん゙、たぶん、夜中」 「……えっ? どした、その声」

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