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理性はギリギリ

 喘ぎながら、涙でぼやけた視界で見た兼嗣は、上気した顔で嬉しそうに目を細めていた。  首筋に汗が浮くほど興奮しきった顔をしてるくせに。  本当に愛おしいものでも見るような熱っぽい表情と、低く掠れたえろい声と、俺の体液でべちょべちょになった見慣れた両手が目に入る。  それがとてつもなく、背徳的で、燃えそうなくらい恥ずかしいのに。 「は、ぁう……ぜんりつせん……っ、覚えた、からあ……っ」 「ほんとに? ここだよ、わかる?」 「っあ、ぁあう……ッ、わかる、わかるから……っも、そこ、やめ……ッ」 「……やめてって言うわりには全然抵抗なく出し入れできちゃうし、そんな可愛い顔と声で言われてもね。ほんとはやめてほしくないんじゃない?」 「ぅ、ぁ……ちが、あぁ゙……っ、」 「ね、見て? もう俺の両手、みーちゃんのいやらしい体液でベタベタ。でもこれ、精液じゃないよね」 「……っ」  変態に変態なことされて、しっかり感じてる自分のほうが変態みたいで。  ナカがじゅわりと熱くなり、先端からはまたとろりと体液が垂れる。  本当に違うのに、こんな甘ったるい声では説得力なんて皆無だ。  でも、俺以上に欲望に支配され、興奮にギラついた兼嗣と、視線が絡んで。  その目で見られると、胸が張り裂けそうに苦しく、ぎゅうっと熱く、心臓をわし掴まれたように締めつけられて。  兼嗣のこんな熱っぽい視線、見たことない。  俺だけに向けられてる、いやらしくて興奮した目。見ないでほしい。受け入れられない。  受け入れたら、俺は俺でなくなってしまう気がして。 「ぃあッ、アッ……見る、な……ッ」 「……みーちゃん?」 「や、やぁ……っ見るな、みるな……っ、ぃやだッ、こんな、こんなのっ、ぁ、あぅ、だめ、だめだぁ……ッ」  こんな、汚点でしかない俺の醜態を、どうしてそんな目で見てくるんだ。

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