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こわれ、る

 だめだ。どんどん、瓦解していく。 「あぅっ、おく……、奥やだ、おまえの、硬ぇっ、い、ぁあ……っ」 「……ごめんね、可哀想なのに、苦しいくらいかわいい……すき、すきだよ、みーちゃんのこと、ずっと、ずっと……っ」 「やめろ、やめて……っ、も、そこ、だめっ、」  熱でふやけた脳みそでは、うすら寒い言葉も甘く鼓膜を震わせた。 ──お願いだから、止まって。一回抜いて。  耐えられない快美に、そう、言おうとした瞬間、ずりゅんっと奥の奥まで、先端が入ってしまって。 「──ひァっ、ァあ゙ッ……?!」  兼嗣は夢中で腰を前後させているから、それは雁首を引っ掛けながらすぐに出て行って、そしてまた、最奥を突きあげる。  耳の奥まで劈く、痛みに似た刺激。  目の前がチカチカと明るくなったり暗くなったりする。 「やッ──……、ら、ァ……っ、ぁア……ッ!」 「……う、ぁ……っ!」 「……ッ! ~~……っ!!!」  ぐにゃりと下腹部が煮えたぎる。  助けて。こんな感覚、今まで生きてきて味わったことがない。  痛いのに、痛いはずなのに、それだけじゃない痺れるような激しく甘い疼痛に、耐える術がない。  重くて強い電流が、身体の奥の柔らかいところを揺さぶったような衝撃が恐ろしくて、何かが壊れて漏れてしまいそうで。  声もなくしゃくりあげ、脚も腰も断続的にビクビク痙攣しながら、兼嗣の胸を弱々しく叩いた。 「っごめん、痛いの? 奥、だめなら……っ、ここは? 前立腺、さっきは良さそうだった……」 「っひぁ゙──ッ! あ゙、ぁっ、あンっ、んァ……っ!」  兼嗣は背を伸ばし、今度は腹側の浅いところを狙う。  そこは、指でさえ気が狂いそうになり、身悶えたところだ。  そんなところを硬くて熱いので責められたら、もう、本当に。理性が、焼ききれる。

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