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第9話

「……ん……っ」  人前、しかも男の前でオナニーしてるのにどんどん興奮してくる。  俺って変態?  そりゃ昔からエッチなことは好きだったけど、でも……。 「……っは、……ん」  手を動かすスピードが上がっていく。  どんどん先走りは溢れてきてて吐射感が強くなってくる。  松原が見てんのに。  俺の目の前はもう快感だけで。  欲を吐き出すために必死になってしまう。 「ぁ……ッ、……う」  もうそろそろ限界になってきた。  いつもより早いけど、イキそうでラストスパートをかける。  自然と腰が揺れて激しく扱いて――。 「っあ、……ッん」  もう、イク。 「――……は、……っ! ……な……ん…!?」  あともうちょっとでイクところだったのに、限界まで膨張した息子は欲を吐き出せずにビクビクと苦しそうに脈打ってる。  息子の先を握ってる俺の手。  息子の根元を握ってるのは――松原の手、だった。 「なん、で」  驚いてかすれた声で呟く。  早くイキたくって、いつのまにか俺のそばに腰を下ろしていた松原をすがるよう見つめる。 「手、離せよ」 「こういうときはちゃんとイキますって俺に言うのがマナーだろ?」  薄く笑いながら松原はぎゅっと息子の根元を握った。 「……っ」  しらねーよ!  なにがマナーだよ、このド鬼畜変態!!! 「イク……から! だから、手、離して!」  悪態をつきたいはずなのに、俺の口から出てくるのは情けない言葉ばかり。 「そんなにイキたいか?」 「うんっ」 「じゃあ、お前が手離せ」 「は?」 「ほら」  松原はもう片方の手で無理やり俺の手を退かすと――俺の息子を扱き始めた。  骨ばった長い指が、ガチガチに硬くなった俺のを握って上下してる。  一瞬呆然としてでもすぐになにも考えられなくなった。 「っ、あ!! イ……ッん!!」  限界ぎりぎりで、その上松原にされたことであっという間に俺は果ててしまった。 「いっぱい出たな」  口角をあげる松原の掌には俺が吐き出した白濁がべっとりついている。  恥ずかしくて目を逸らそうとした俺に追い撃ちをかけるように松原は手を俺のほうに差し出した。 「舐めろ」 「……は?」  またしてもアホなこと言い出す松原に絶句してしまう。 「お前が汚したんだからお前が綺麗にするのが当然だろ?」  早くしろ、と松原は俺の口元まで手を寄せる。  精液の匂いが鼻を掠める。  匂いくらいはいつだって嗅ぐけど舐めるなんて……ありえねーだろ。  無理――って言いたい。でもそれこそ無理だろうって薄々気づいてる。  このドS鬼畜変態が許してくれるはずない。 「捺、ほら」 「……」  俺は仕方なく松原の手を取ると掌に舌を這わせた。  べっとりとついたそれを舐め取っていく。  自分のものっていうのがめちゃくちゃイヤだけど――いつのまにか夢中になってた。  指先にも飛び散ってたのを口に含んでキレイにする。  なんかその行為が妙にエロく感じて、俺に向けられる松原の視線もなんていうか……目で犯されてるっていうか。 「そんなに俺の指がうまいのか? また勃ってきてるぞ?」 「……っ…ん」  ぴちゃぴちゃと指を舐めながら顔を歪める。  そんなん言われなくってもわかってる。  バカみたいに俺の息子はまたムクムクとでかくなって上を向いていた。  でも一回とりあえず出したし……。  ちらり、と俺の視線が向いたのは松原の……下半身。  よくよく考えれば俺より松原のほうがきついんじゃないか?  媚薬飲んでるんだから……。 「もういい」  そんなことを考えながら舐めていたら急に手が退かされた。 「……あ」  口さびしさについ呟くと、ニヤッと松原が口を歪める。 「なんだよ、まだ舐めたかったのか?」 「……んなわけ……」  あるけど……。  妙な気持が胸の中で湧き上がってくる。 媚薬飲んでいるくせに余裕そうな松原の表情をくずしてやりたい、っていう気持と――気持よくしてやりたいって違うようで行動にするなら同じようなことを思う。 「松原!」  俺は抱きつくようにしてソファに松原を座らせた。  不意打ちだったせいか簡単にソファーに崩れた松原のズボンをすかさず引き下げる。  俺には負けるけど標準より大きく硬い松原のものが出てきて俺は手に取った。  松原を見るととくになにも言わずに俺のことを見つめてる。  ソファの下に跪いて、松原の脚の間に入って――、一瞬迷ったけど俺は……それを口に含んだ。  当たり前だけど、いくら自分の扱いてオナニーしてたって他の男のを触るのもましてやフェラなんて初めてだ。  でも男だからこそ気持ちいいところとかわかるし。  とりあえず俺が好きなフェラのやりかたで頑張ってしてみた。  唾液をたくさん含ませて裏筋を舐めて、カリまで口に含んで吸い上げて……。  たまにそっと見上げる松原の表情の変化はよくわかんねーけど、俺を見下ろす目は異様な色気があって、それにフェラしながらしごいている松原の息子はぎちぎちに膨張してドクドクと脈打ってる。  先走りだって出まくっててそれを舐め取っているとやっぱり変な気分になってく。 「捺……」  急に松原が呟いて立ちあがる。  俺も咥えたまま膝立ちする。  松原は俺の頭をそっと撫でて、「うまいぞ」って言った。  嬉しくてニヤケそうになったら続けて「耐えろよ?」と松原が俺の頭をぐっと掴んで。  腰を打ちつけてきた。  喉奥まで突き刺さってきて苦しい。  イラマチオなんて女の子可哀想であんまりさせたことないんだけど、俺!!  なんて思いながらそれでも舌を絡めて喉奥まで迎える。 「……っ、く」  苦しさに眉を寄せてたけど……、かすれた吐息が落ちてきて視線を上げた。  上気した頬、きれいな顔を快感に歪ませている松原の表情になにもかも吹っ飛んでしまう。 「……捺……、イクぞ……ッ」  苦しげに熱っぽい声で松原がそう言った次の瞬間、喉の奥に熱いものが吐き出された。

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