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第10話

「……んっ、んん」  勢いのよい射精は出尽くすまで俺の喉奥にあって、そのうえ出したっていうのにまだギンギンに松原のは勃っていてとにかく苦しい。  深いため息をついた松原は俺の頭を軽くたたいて咥内から引き抜いた。  ほっとして喉奥に溜まっていた精液を飲み干す。  自分のと松原のと二回分飲んだことになる。  ……あとで胃薬飲んでおこう。  口の中の何とも言えない不快さに唾を飲み込んでいたら松原が水割りをくれた。  それを少し飲んで咥内をすすぐ。  ちょっと酒が多めだったせいかぴりぴりと喉が熱くなった。 「大丈夫か?」 「え、あ、うん」  まだ俺のも松原のも勃ってて、なんか妙に恥ずかしい。いまさらだけど。  顔が赤くなるのを感じながら松原を見ると、松原も俺を見ていて―――目が泳いでしまう。  なんかすんげぇ勢いでフェラまでしちゃったけど……松原はどうなんだろ?  まだ勃ってるし……。  このまま最後まで――?  ……どっちが女役なんだろ。やっぱり俺!?  不安ていうか、なんていうかよくわんねない気持が入り混じってる。  でもこのまま流れを止めるのはいやだったから松原のそばににじり寄ると不意をついてキスした。  態勢が悪かったのかバランス崩して、ちゅ、と触れるだけのキスになってしまった。  逆に恥ずかしさがUPする。 「向井、お前さ――」 「へ?」  松原は首をひねって俺を見つめる。  なんか少しさっきまでと雰囲気が変わったような気がする。  なんだろう?  不安で、松原が口を開いてなにか言おうとするのを遮った。 「なぁ! ご褒美は? 約束したよな?」  ……あんな恥ずかしいことしたんだし。 「――ああ。そうだったな」  松原は苦笑すると水割りを一気に飲み干した。  そして立ち上がると俺の腕をつかんだ。 「ご褒美になるかはお前次第だけど………来い」  引っ張りあげられて連れて隣へと行かれる。  リビングに隣接した隣の部屋は寝室だった。  やたらでっかいたぶんクイーンサイズくらいのベッドが置かれてる。 「待ってろ」  松原はそう言うと部屋の中にある一つの扉の中に入っていった。  それを見送って、俺はベッドに座り込んだ。  ドキドキして吐きそう。  ベッドに手を置くとすごく肌触りのいいシーツの感触。  ふわふわしてそうな枕が横一列端から端まで並んでて……。  ここで実優ちゃんといつも寝てるんだよなぁ、なんて思ったら胸の奥が痛んだ。  その痛みの原因をいまは考えたくなくって首を振っているとドアの開く音がして、松原が戻ってきた。 「向井、横になれ」  松原は着替えたのか新しいスエットを履いてた。  もう媚薬……効果なくなったのかな?  注意深く見てみると、でも勃ってる……ぽい。  やっぱり男同士だし無理なのかな……。 「向井……。おい、捺!」 「え? はい!?」 「ほら、横になれって」  松原は俺の肩を押してきたから、倒れる。右半身を下にして寝ころんだ。  俺の足元に松原が座る。 「……リラックスしろよ?」 「………は?」  なにかしている気配がしてなんだろうって見ようとしたら、片足を少し持ち上げられた。  びっくりして声を上げようとした瞬間、後孔にひんやりとしたものがたらされた。  そして指がなぞりだす。 「……っ」  驚いて身体が震えてしまう。  もうしないのかなって思ってたから、緊張で身体が強張った。 「力抜け」  松原は言いながらローションを塗りこむようにしながら―――ゆっくり指を侵入させてきた。  異物感に不安が押し寄せる。 「大丈夫だから、リラックスしろ」  宥めるように松原の手が俺の脚を撫でる。  リラックスって言ったって、無理だろ!  パニックになっている間にもローションのおかげで少しづつだけど指が埋まっていく。  指一本だけでもすげぇ圧迫感があって息が詰まりそう。 「松……原……っ」 「……深呼吸しろ。力抜けって」  少し笑った声がして、中に入った指がほぐすように動き出す。  ローションのせいでぐちゅぐちゅと音がしてて、顔が熱くなった。  ま、まじで……!?  一本でもきついのに、ぜったいこれ以上は無理だって気がする! 「む、りっ」 「しょうがねーなぁ。深呼吸の仕方くらいしってるだろ? 吸って吐いて繰り返せ。腹式呼吸がベストだぞ?」  ふ、腹式呼吸!?  んなん言われても!!!  でも楽になるんだったらって必死でがんばってみた。 「――そう、いい子だ。リラックスしてろよ?」  松原の指がなにか探るように肉壁を擦ってる。  指を動かしながら何度も「力抜け」とか「呼吸が」とかなんかごちゃごちゃ言ってて、もうなに考えればいいのかわかんなくってひたすら深呼吸してた。  それから少しして、びくんって身体が震えた。 「……ここか」  ぼそっと松原が呟く。

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