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第29話

「捺くん」  また頭ん中がごちゃごちゃしできだした俺の名を呼んで、口をふさいでくる優斗さん。  俺の両足を割って間に入って、覆いかぶさるように優斗さんの身体が密着してくる。  めちゃくちゃ恥ずかしい格好。  だけど絡み合う舌の熱さと、そして俺と優斗さんのがちょうど擦れあっているのが……めちゃくちゃ気持ちよくって。  なんにも考えられなくなってく。 「ン……っ、……ぁっ」  口の端から唾液がこぼれてしまう。  優斗さんが腰を押し付けてきて動かすから、ますます俺たちの息子は密着しあう身体に挟まれてぶつかって擦れて、お互いからでてる先走りが混じり合って肌を濡らしていく。 「気持ち良さそうだね?」  唇が離れて至近距離で囁かれる。  俺が返事をする前に優斗さんの唇が首筋や胸へと下りていく。  リップ音を立てながら肌を滑る唇の感触にゾクゾクする。  胸の中心を舌でなぶられて背中がのけぞってしまう。 「優斗さ……んっ」  もどかしかった。  両手は縛られたままだから俺から行動することできない。  与えられる刺激は気持ちいいけど、俺も触れたい……って思った。  優斗さんは身体を起こすと「なに?」って首をかしげる。 「あの……」  拘束しているネクタイを解いてほしいって言おうとしたのを、遮られた。 「ああ、もう物足りないんだね」 「……え」  ある意味当たってる。  でもそうじゃないから、また呼びかけようとして――俺は口を閉じた。  ていうか、言葉を飲み込んだ。  優斗さんが俺の太腿を抱えて腰を持ち上げた。 「ッ……」  恥ずかしすぎる格好。  俺の息子も後孔も優斗さんの目にさらされてる。  めちゃくちゃ恥ずかしくて顔が熱くなった。 「ゆ、優斗さんっ」 「力……抜いててね?」  優斗さんは俺に優しく笑いかけると息子から滴ってる先走りを指にすくって、そして後孔に触れた。  外気にさらされたそこに俺ので濡らされた優斗さんの指がゆっくりなぞって挿ってくる。 「……ンッ」  思わず眉をしかめる。  たぶんまだ指の先くらいしか入ってねーと思うんだけど……。 「ゆうとさん……」  情けないけど半泣き状態の俺。  だって圧迫感が! 違和感が!  そりゃ松原に指……つっこまれたけど!  でももうあれも一か月も前の話しだし。  とにかく情けなくても何でも、どう考えても指でもきついって思うのにそれ以上の太さが入るなんて無理だって思った。 「まだ指先だけだよ? 力抜いて、捺くん」  笑いながら優斗さんはほぐすようにして指を進めていく。 「……ッ……く……は」  やっぱ無理!  圧迫感がすごくて辛い。  耐えきれずに顔を背けてベッドに頬を擦りつけるようにして目をぎゅっとつむった。 「……大丈夫?」  心配そうな優斗さんの声。  そして後孔からずるりと指が抜かれる感触。  さらりと優斗さんの手が俺の髪をかきあげた。 「……す、すみません……。お、俺……やっぱり、無理……です」 「……2回目ならまだ慣れてないだろうしね。でも最初はちょっときついかもしれないけど、ちゃんとほぐせば大丈夫だか――」 「は、はじめてだしっ」  たぶん誤解してるっぽいから、慌てて叫んだ。

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