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第62話

 お互いの先走りが溢れて混じって、それを絡めながら手を上下させる。  手の動きだけじゃなくって自分以外の体温と脈動とか伝わってくるとそれも快感になる。  気づけば智紀さんよりも手の動きを速めながら、腰を動かしてしまってた。  擦れ合って扱いて、堪らず荒い息を吐いてたら智紀さんに深いキスをされる。 「……っ…んっ……」  やばいくらいに、気持ちいい。  頭ん中はもうなんにも考えられないで、気持ちよくってただ快楽だけ求めちまってる。 「んん……っ」 「も、イキそう?」  ひたすらに手を上下させてたら耳元で囁かれる。 「……ッ、……う、ん…っひゃ」  ちょっとだけ躊躇いながら頷いたら、いきなり耳が智紀さんの咥内に含まれた。  ぱくり、と食べられたとしか言えない感触。  もぐもぐと唇と舌で俺の耳をくすぐる。  耳孔に熱い吐息と一緒に水音を立てながら舌が這いまわって、ぞくぞくと電流みたいな快感が走った。 「っ、とも、き、さん……っ」 「……なつ、"智紀"だって言ったろ?」  囁かれて、また舌が這いまわって、頭ん中が溶け出しそうな、そんな感じがするくらいに熱い。  ぐちゅぐちゅ卑猥な水音を立たせながら沸き上がる射精感に俺は吐き出すために手を動かす速度をさらに上げて。 「ンッ!! と、もきっ」  智紀さんの空いていた片方の手が俺の胸を這ってその先をきつくひねりあげて。  耳たぶを甘噛みされ――……。 「……ッ、は、んっ……く!!」  全身が大きく震え、俺の息子も激しく脈動して、俺は白濁を吐きだした。  呼吸が乱れて肩で息をする。  吐き出された白濁は智紀さんの手の中に受け止められてた。 「今日も一杯出たね?」 「ひ、んっ」  "今日も"って言葉に恥ずかしさを感じる暇もなく、キスされて、いつのまに潜り込んでたのか後孔に指がぷつりと入り込む。  少し濡れてるのは白濁のせいなのかわかんねーけど、ゆっくりと奥へと進んで行く。  一か月ぶりの圧迫感は違和感があって、ちょっと苦しくて、でも身体が震える。  俺と智紀さんの息子は触れ合ったままで、智紀さんの手はまだ動いてて、果てたばっかりなのにまた俺のは硬さを取り戻してた。 「っあ、ちょ、ま、って」  ほぐすように俺のナカを動く指と、前に与えられる刺激が強すぎて、なんかもう身体も頭ん中もぐらぐらして智紀さんにしがみついた。  俺の耳元にちょうど智紀さんの顔があって、クスッと笑う振動が伝わってくる。 「ソファ、行く?」 「……ん」  俺が小さく頷くといきなりしがみついたままの俺を抱え上げる。 「っわ」  抱っこされた恥ずかしい状態でソファに連れてかれた。  智紀さんが座って、俺はその上。  エクレア食べさせたときと同じ、だけどさっきよりもずっと密着してる。 「ちょっと膝立ちして」  言われるままに動く。ズボンを脱がされて――シャツも……。 「え、ちょ、それは……」  思わず脱がせようとした手を止めた。  だってだ、まだ昼間で、部屋ん中はすっげぇ明るい。  全部脱ぐのはさすがに恥ずかしいし! 「なんで?」 「だって、智紀さ……、智紀は脱いでないし…」 「俺はいいの。でも捺の肌キモチいいから、全部見たいし触りたいし。俺は――捺のナカに突っ込めるモノさえだしてれば、ね?」 「……」  も、もうちょっと言い方ねーのかよー!  なんかいちいち顔が赤くなってばっかりだ。 「……でも、やっぱ」 「わかった。じゃー、あとで捺がイキまくってるときに脱がせよう」  楽しそうな智紀さんは悪戯っぽく目を細める。 「……はぁ?!」  イキまくるとか、もう……!  これからの行為を想像させられて、智紀さんとスるってことに気恥ずかしくて顔をつい背けた。 「んじゃ、とりあえず……」  ごそごそと智紀さんがズボンの後ろポケットをあさってる。  ちらり見ると、ピンク色のパッケージの……なんだろう?  試供品とかでもらうシャンプーとか入ってそうな薄く小さい長方形の袋。  ぼうっと見てると開封したその中から透明の液体が智紀さんの手に落ちていく。 「この前、街歩いてたらたまたま貰ってさ。ちょうどよかった」  にこり、笑って濡れた手が俺の下へと来て、ぬるり、と後孔に触れた。 「っ、!」 「捺、俺の指が触れてるのわかる?」 「……そ、それっ」  あきらかにローションをまとたった指がさっきよりも滑りよく俺のナカに入ってきた。  つーか、たまたま貰ったとかウソだろ!!  そう思うけど、言う前に智紀さんの指が奥まで突き刺さってぐるりと円をかくように動く。  そしてゆっくり挿送をはじめて、圧迫感と喪失感に眉を寄せた。 「……んっ」 「気持ちイイ?」 「……っ…ぁ」 「なーつ? 気持ちイイ?」  ナカを犯しながら、勃ちあがった俺の息子に触れてくる手。  さっきと同じように、智紀さんのと一緒に擦り合わされて、ずくずくと身体が疼く。 「……きもち……い…い」  智紀さんの肩に顔を埋めて小さく呟いた。  この一カ月ずっと友達のように思ってたのに今こうして触れ合ってるのが信じられない。  けど、もうどうしようもなく気持ちよすぎて我慢できなかった。 「捺のナカ、熱いね? 早く突っ込みたい」  笑いを含んだ声が俺を煽るように熱く囁く。  ぐちぐちとナカをほぐす指が二本に増やされて圧迫感が増すけど、同時にそれだけじゃない感覚もわきあがってきて、また智紀さんにしがみついた。 「……ん、っ……あ、っく!」  二本の指が奥のほうを突いた瞬間、びりっと身体を刺激が駆け抜けた。  それは久しぶりに味わう、快感。 「――ココ? 捺のイイところ」  震えた身体に気づいた智紀さんが確認するようにぐちぐちとソコを擦りつけてくる。 「ま、っ、んっ」  待ってくれって言葉は言葉にできないで、前立腺を刺激してくる指の動きに俺は声を耐えながら、耐えきれずに腰を揺らしてしまってた。  くちゅくちゅと卑猥な音が響いてる。 「捺、キスして?」  手を休めないままに智紀さんが俺の耳を舐めてきて、言われるままにキスした。  舌を絡め合わせて唾液を渡らせて、ここでもくちゅくちゅって音がしてる。  もう、まじでどうしようってくらいに気持ちよくて、頭ん中が真っ白になってくる。  いつの間にか指は三本に増やされてたけど、圧迫感よりも快感のほうが強くなってた。  溶けちまうんじゃないかってくらいに身体中が熱くて、熱くてたまらない。 「……っ…ふ、……ん……っ」  夢中でキスしながら――、もっと、って感情が湧き上がってくる。  もっと、もっとって、俺は智紀さんに腰を押しつけながら快感を貪って――た。  甘くて熱くて、お互いの荒い息が充満してた室内に、空気を壊すような音が鳴りだした。 「――ッ」  それを認識した俺の頭ん中が、いままでとは違う意味で真っ白になった。  鳴りだしたのは、俺のケータイ。  そして鳴ってる着うたは――優斗さん専用のものだった。

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