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第65話

 隙間がないくらい密着したままの律動は智紀さんが動くたびに俺の息子も摩擦して、一気に射精感と、後孔から耐えきれないくらいの絶頂感が湧いてくるのを感じる。 「ン、っ、とも……」  キスの合間に、必死で声を出す。 「なに、イキそう?」 「……ん、ッン」  頷いて、また口塞がれて。 「じゃ、一回イこうか、一緒に……。まだ時間は……たっぷりあるし、ね…ッ」  肌のぶつかる音が一層強くなる。 「っ、あ……ッ、もッ……イク……ッ、あ、……ッく」 「……ッ、なつ」  またキス。  きつく舌を吸い上げられ、絡まれながら絡めながら、ぐちゅぐちゅと疲れて。  ソファがギシギシと軋む音を遠くで聞きながら――。 「ンッッ!!」  俺の身体は大きく痙攣してしなり、肌と肌の間に白濁を吐き出しながら息も出来ないくらいの絶頂の中に放り出された。  ビクビクと後孔も収縮する。  そして咥えこんだ智紀さんのものが脈動して奥で熱を放つのを感じた。  浮遊感と解放感と、果てしない気持ちよさ。  俺のナカに全部吐き出すように腰を打ちつけてくる智紀さんに俺は何度も身体を震わせてイキ続けてた。 *** 「……っ、も……!」 「ほら、ちゃんと味わわないとダメだろう?」 「……ンっ」 「涙目になっちゃって」  智紀さんはめちゃくちゃ楽しそうに目を細めてる。 「ンンッ」 「なーつ」 「んん……ッンン!! ん、くっ」  俺は必死で、口のナカのそれを、飲み込んだ。 「み、みずっ!!」 「はいはい。そんなに焦らなくってもいいのに」 「だって! 俺ヤだって言ってんのに!」 「ごめんごめん。まさかそんなにイヤだとは思わなかったんだよ」  にこやかな笑顔で全然悪いなんて思ってなさそうな智紀さんに、俺は頬を膨らませながら水をがぶ飲みした。 「昔、ばーちゃんにお茶飲まされてから大っきらいになったんだよ」 「あー……俺も飲んだことあるけど」 「まずいだろ!?」  力強く詰め寄る俺に智紀さんは曖昧に頷きながら、 「まぁだし汁って感じかなぁ」  と笑いながら、俺にまた例のヤツを近づけてきた。 「いらねーってば! 智紀さんのドS!」  まじで嫌いだから! って、俺は智紀さんの手を押して、箸につままれたシイタケを向こうに追いやった。  そう――俺はシイタケが大っきらいだ。 「ほら、もうシイタケ入ってないから食べなよ。ね?」  いま俺と智紀さんがいるのは智紀さんお勧めの中華料理屋のテーブル席に座って夕食をとっていた。  智紀さんのお勧めはちょっとお高そうな店。でもラーメンが美味しいんだよってススメてくれたから頼んだら――大嫌いなシイタケがめちゃくちゃ入ってた。嫌いだっていってんのに智紀さんに無理やり食わされてて、まじで嫌だ! 「あー! もうめちゃくちゃ口の中がシイタケ臭いんだけど!!」 「でもラーメンは美味しいだろ?」 「美味しいけど、でもシイタケが!」  嫌いなものには誰でも敏感になるはずだ。  もうほんとに口の中に残るシイタケ臭がイヤでたまらない。  ぶつぶつぶつぶつ、俺が文句言ってたら智紀さんが俺の方へと身を乗り出して耳打ちする。 「じゃあ、そのシイタケと――」  まだ夕食には少し早いからかそんなに混んではいない店内。いまからお客さん多くなっていくのか――って!!  智紀さんのナイショ話するように、俺に言ってきた言葉に顔が一気に熱くなるのを感じて、飲んでた水を吹き出しそうになった。 「な、な、な!」  なに言ってんの、この人!! 「なーつ、どっちがマシ?」 「は!?」 「だから、シイタケと捺のー……」 「うあああ!!」  今度は耳打ちじゃなくってさらっと言いかけた智紀さんの口に慌てて手を押し当てて塞いだ。  こんな店の中でなに言おうとしてんだよー!!  めちゃくちゃ焦ってんのに、智紀さんはやっぱり楽しそうに塞いでる俺の掌をぺろりと舐めてきた。 「ッ!」  びくっと身体が震えて、また慌てて今度は手を離す。  クスクス笑う智紀さんに俺はもうなんか疲れて脱力してしまった。  この店に来るほんの30分ほど前まで俺達は智紀さんのオフィスにいて、俺は疲れまくってた。  そりゃもう……疲れもする!  智紀さんと同時にイってから、そのあと抜かずに二回戦に持ちこまれた。でもって三回戦も立て続けにされて。しかも……。 『えっろいな、捺は。窓にそんなに擦りつけちゃって、気持ちいい? ほら、あのオフィス、人居るみたいだよ。捺のやらしーカッコ、見られてるかもね』  窓ガラスに押し付けられてバックから貫かれて、羞恥で脳みそ溶けそうなくらいに卑猥な言葉を投げかけられながら――何回もイかされて。  全部ナカ出しだったから、智紀さんは精液を掻き出すって言いだすし。  家に帰って風呂入るからいいって言ってんのにトイレに連れてかれて……。  っあああ!  もう、まじで死にたいかも。  掻き出すだけだって言いながら前立腺を刺激してくるから、俺のは反応しまくって。 「俺は、美味しかったよ。捺のせ――」 「うああああ!」  またまた智紀さんの口を手で塞ぎながら、トイレでされたフェラを思い出す。  やたらと広くて綺麗なトイレ(しかも音楽流れるし!)の洗面台に座らされてフェラされた俺はもう出なくなるんじゃねーのって感じで智紀さんの口の中に白濁を吐きだした。  その白濁を口にいれたまま、智紀さんがキスしてきて、俺は自分のを飲まされて……。 「どっちも、マズイよッ」  答えないかぎり何回も言われそうだったから早口でそう言った。  また舐められないように手をすぐ離して勢いよくラーメンを食べるのを再開する。  何回もヤりまくったせいで腰は痛いし重たいし、全身はだるい。 『もう少し休んでたら』  ってオフィスで言われたけど、あのままあそこにいたらまたなんかヤられそうな気がして腹が減ったと外に出てきたんだ。  それにしても智紀さんは何回もヤったわりに元気だよなぁ。  シイタケ以外はうまいラーメンをすすりながらチラリ視線を向けると、途端に目が合う。  首を傾げる智紀さん。  だけど少し細めた目が……なんか、絶対わざとだと思うけど、艶っぽい。  俺は慌てて目を逸らして必死にラーメンをむせながら食べた。  智紀さんの笑う声がしてたけどもう目は合わせずにラーメンに集中した。  それからラーメンとチャーハンと餃子を食って店を出た。

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